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高知競馬の巨額負債を生んだ最大の要因は、新競馬場建設に伴う昭和60年時点の借金「80億円」に尽きる。建設資金を銀行に借り、つまりは現場にかぶせ、県や高知市は全く痛まない「高知方式」だ。
もし最初の80億円がなければ、どうなっていたのか。これまでの償還分は平成13年度末で約90億円だから、単純な引き算なら最低10億円の黒字。
「ローンさえなければ収益金を自治体に納めているんじゃないでしょうか。あくまで机上の計算ではありますが」
競馬場横にある県競馬組合事務所。県から出向している職員の一人が資料を引っぱり出して続ける。
「出した金と赤字分の引き算で言うなら、移転前は収益金を自治体に配っていた。これもわれわれの理屈ですが、過去に配った貢献も見てほしいなあと」
競馬場は昭和57年までに計66億円の収益金を県や高知市などに配分している。その金は自治体財源として活用された。
「これも知られていませんが」と、職員はややこしそうな顔で続けた。
現在の高知競馬場は、持ち主が県と高知市であるにもかかわらず、固定資産税類を同市に過去計10億円納めている。例えば高知市名義の土地の固定資産税分は、高知市(金を出すのは県競馬組合)が高知市に払う(名目は交付金相当額)という不可思議さ。銀行から金を借りてまで、こんなものを払う必要は全くない。
先の職員が言う。
「減免などの配慮があってしかるべきなのです。同じ出資者なのに」
また高知市は片方で競馬を経営し、もう一方では高知競輪の経営者。競馬と競輪のパイの奪い合いは互いをじり貧にさせる矛盾も生んできた。平成11年秋、高知市は南国市に場外車券場「サテライト南国」を設置する。それによって12年度以降、高知競馬の売り上げは急減した。
「利害の反する2事業を同時に経営するのは常識的におかしい」と県競馬組合の元職員。ちまたには「高知市は競馬を切って競輪を残すことに決めた。その方が利が大きいからだ」と指摘する声も上がっている。
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ちなみに県競馬組合の経営陣は県と高知市の職員。県市の規定通りに支払われる彼らの給料は、競馬の収益から出ている。同じ競馬で給料をもらう身でありながら、現場の仕事師の生活費は削られ、経営陣は痛まない。
しかも歴代の経営陣が何をしたか。
バブル崩壊後の3年を境に、売り上げはがくんと落ち始める。ところが同年度から経費は一気に膨らんでいく。窓口業務などのため開催日だけ雇う従事員の総賃金、賞典奨励費、職員人件費…。2年度からの3年間に、従事員の総賃金(28%増)を筆頭に経費は16%アップした。蛇口を閉め忘れたかのように、県市から来た経営者は経費を増やし続けた。そうやって無策を続けた揚げ句、決まって彼らは数年後に異動で去る。
累積赤字80億円――。
今、責任者不在の数字だけがのっぺらぼうの顔で転がっている。のっぺらぼうの数字だけを取り上げて、「税金を投入するつもりか」「たかがギャンブル」「即刻廃業を」とこぶしを振り上げる声がある。
頭ごなしに言われると、仕事師には反論のしようもない。
【写真】レース前日、減量する騎手たち。無責任な経営のつけが彼らを圧迫している(高知競馬場の調整ルーム)
(平成14年12月24日付夕刊掲載)
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