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前回のおさらい。
昭和60年、県と高知市は66億円で旧競馬場を売り、新競馬場の土地部分(簿価で912億円)を取得。新競馬場建設の残り債務80億円を競馬施設公社に背負わせた。償還金は競馬場使用料に潜り込ませたため、高知競馬を開催する県競馬組合は毎年、銀行から金を借りて高額の使用料を公社に払い続けている。そうやって雪だるま式に膨らんだ組合の累積赤字が80億円――。
県畜産課の資料に戻る。
高知競馬の項を見ると、平成13年度の競馬場使用料は歳出の4・0%、3億6800万円。隣の項は園田競馬場を持つ兵庫県競馬組合で、使用料ゼロ。ほか近隣では広島県の福山競馬場もゼロ。佐賀競馬場は歳出の0・1%、熊本県の荒尾競馬場は0・7%…。高知競馬の使用料はいかにも高い。
資料をめくりながら担当者が言う。
「こういうシステムがおかしいという声は昭和60年当時にもあったと聞いているんですが…」
自治体が競馬事業を行う場合、一般にはその自治体自身が資金投入してまず競馬場を造る。その上で競馬を主催し、利益を取る。
ところが高知競馬の場合、新競馬場造りに必要な資金はそっくり銀行から借りた。そしてそれを競馬組合に負担させるシステムにした。いわば県市が利益を先食いした格好だ。
銀行から借金すれば当然、金利を支払わなければならない。新場開設以来17年間で競馬組合が払った償還金分は90億円。だが80億円の負債はまだ半分残っている。
おまけに銀行から借金して使用料を払っていたため赤字が累積した。もちろんそれにも金利がついた。毎年支払っているその金利分が1億2800万円。これに使用料の3億6800万円を加えて、約5億円。高知競馬にとって、この5億円がいかに重いことか。
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現在の競馬場には三方向から住宅地が迫っている。中心街にも近い。それでいて広さは55ヘクタール。要するに、見る人が見ればかなり魅力的な土地らしい。
もし高知競馬が廃止されると、そのスペースがすっぽり空く。高知競馬の仕事師たちにとっては迷惑この上ないが、早くも「競馬場後」をめぐるうわさが飛び交い始めている。
本県と徳島県が綱引きを演じている陸上自衛隊普通科連隊の誘致先として、「高知競馬場の跡地が最適。教育環境の面から、自衛隊は高知市近辺を最も望んでいる」。
「大手のレジャー企業がひそかに食指を伸ばしている。広さは十分。スポーツ施設を造るらしい」という話も出始めている。
失礼を承知で皮算用してみよう。
仮に売却単価を1平方メートル当たり2万円とすると、55ヘクタールで110億円。3万円だと165億円。
競馬場が廃止になれば、一番もうけたのは50億円を超える金利を得た銀行ということになるだろう。跡地を売り抜けると県と高知市にも大損はない。
対照的なのは高知競馬の仕事師たち。赤字、赤字と言われ続け、生活給である賞典奨励費を削られ続け…。多くの仕事師には廃止後の行き場すらない。
【写真】レースが終わり、くらを外す。馬から湯気が立つ。馬も含め、高知競馬では多くの仕事師が働いている(高知競馬場)
(平成14年12月21日付夕刊掲載)
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