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高知競馬の騎手の稼ぎは少ない。億の金すら稼ぐ中央競馬の騎手と比べると、信じられないほど少ない。
エース級の1人、北野真弘さん(33)でことしの推定年収は600万円ほど。少ない者は200万円を下回る。毎朝3時から働き、命懸けで走ってこの金額。
その彼らが押しつぶされそうになる数字がある。
〈高知競馬の負債、80億円〉
約10年前、高知競馬の赤字はゼロだった。なぜこれほど膨らんだのか。そこを探ると、幾つかのからくりが見えてくる。
高知市丸ノ内1丁目、県庁西庁舎3階の県畜産課。高知競馬の財務データはここに集約されている。
同課の説明で浮かんだからくりの要点は、移転時の「錬金術」にあった。
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昭和60年、県と高知市は高知競馬を同市桟橋通6丁目から長浜に移転させる。
新競馬場に要した費用は道路などの公共事業分を除いて173億円。うち土地代(用地購入と造成費)につぎ込まれたのが92億円。一部はそれまでに競馬の収益で支払っており、残金は66億円だった。
どういう訳か、この数字は旧競馬場用地約11ヘクタールの売却代金とぴったり一致した(一致させるために帳簿上の造成費を調整したともみえる)。県市は売却代金66億円を投じ、55ヘクタールの土地を分割登記した。
土地代を除く費用は81億円。1億円は地方競馬全国協会から補助を受けたので、残りは80億円。その全額を、移転に当たって設立した競馬施設公社(歴代理事長は副知事、または農林水産部長)に負担させた。代わりにスタンドなどの施設類は同公社の名義とした。
公社の償還計画は金利7・8%、25年で総額180億円を返す内容(その後金利低減・40年償還に変更)。それを競馬組合から県市が徴収する競馬場使用料で支払うシステムにした。具体的には同組合が県市に使用料を払い、県市が公社に補助金で出す。
公社が高知市に納める施設の固定資産税3000万円も、県と高知市が土地の固定資産税分を交付金として同市に出す5000万円も使用料に盛り込んだ。平成13年度の使用料は3億6800万円。実に1年間のレース賞金総額に匹敵する。
県市は66億円で簿価92億円(昭和60年当時)の土地を手に入れ、競馬組合は高額使用料を払い続ける。バブルがはじけて金が足りなくなったら銀行から借りて支払う。組合のトップは県からの派遣だから、決して「払わない」とは言わない。結果、負債は大膨張――そんな構図。
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畜産課の担当者がぽつり。
「180億円を競馬に背負わせたんですね。競馬事業を行っている自治体が、これほどの使用料を取っているのは高知だけなんです。自分が事業をやるのに、事務組合をつくってそこから金を取るなんてのはおかしいという意見もあるんですが…」
担当者が平成13年度の資料を広げた。歳出に占める「競馬場借り上げ料(使用料)」の割合を見ると、本県は4・0%。それを超えるケースは北海道しかない。しかも使用料が高いところは競馬場の持ち主が別。例えば北海道の複数の競馬場は農協が持ち、船橋や川崎は民間レジャーランドの所有になっている。
金の話を続ける。
【写真】レース後、計量する騎手たち。関係者一人ひとりの意識に「80億円の負債」が重くのしかかっている(高知競馬場)
(平成14年12月19日付夕刊掲載)
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