|
「したいとき」なのか
「周りはきっと、『もう結婚できんのやろう』と見ているんでしょうね」
高知市の会社員、美紀さん(34)=仮名=が苦笑する。
かつてはよく、「女性は二十五歳まで、男性は三十歳までが適齢期」などといわれた。年齢に対するとらえ方は人や時代によって違うだろう。だが、「適齢期」という概念が、未婚の男女や取り巻く人の意識に「まだまだ」「そろそろ」といった影響を与えてきたことは事実だ。
三十二歳を超えたころから、周りから美紀さんへの「結婚しないのか」という“圧力”が、潮が引くように弱まってきた。「職場では、完全に適齢期外の女という扱い。最近は結婚の『け』も言われんなった」
実は、美紀さんには同系列の会社に勤める彼氏(34)がいる。付き合って六年近くになる。付き合い始めた時から結婚は頭にあったが、互いの異動が一昨年、昨年と連続し、それぞれが新しい仕事に忙殺された。微妙なすれ違いの連続で、結婚を真剣に、向き合って考える機会がなかった。
自分の年に驚く
昨年四月、三十四歳の誕生日を迎えた。「この年まで結婚せんと想像していなかったので、誕生日の夜は自分の年齢と未婚の事実に正直驚き、考え込んだ」
しかし、さばさばした表情で「これからどんなタイミングで盛り上がるか分からん。したいときが適齢期と思う。焦らず、自然に、が私らしいと考えるようになった」と言う。
国立社会保障・人口問題研究所が昨年九月に発行した人口統計資料集に、男女の初婚年齢を都道府県別に算出した一覧表がある。
戦後の本県のデータを拾うと、昭和二十五年は男性が二五・二一歳、女性が二二・五五歳。平成七年は男性二九・九八歳、女性二七・四七歳。四十五年の間に、初婚年齢は五歳近くも上昇し、晩婚化を如実に物語っている。
「へえ、二九・九八歳ねえ」と、南国市の会社員、賢治さん(28)=仮名=が聞き流す。
今は気になる女性もいないらしい。「結婚について聞かれても、漠然としすぎて実感がわかない。三十五歳ぐらいになったら、社会的責任とか考えて、するんじゃないかなあ」と、どこ吹く風だ。
高知市の京子さん(36)=仮名=は、二十一世紀が始まった今年の元日、出会って半年の正人さん(37)=仮名=と電撃入籍を果たした。
「『この人を逃したら、もう後がない』と思い、一気に決めちゃいました」
喜びを隠さない京子さんだが、「適齢期はある。絶対に二十代後半でしちょくべきや」と断言する。
「この年になってからやと、何をするにも『人生あと何年』と数えてしまう。『出産は二人で新婚生活を楽しんでから』とか、のんびり構えておれんもん」
京子さんは「結婚して初めて思ったことやけどね。独身の時は思いもよらんかった」と付け加える。
後悔先に立たず?
今回の取材で会った未婚男女の多くは美紀さんと同様、「したいときが適齢期」との考えだ。それは私も同じ。しかし、京子さんの言葉は、「したいとき」という考えに警鐘を鳴らしているようにも聞こえる。
【写真】おしゃべりに、はじける若い笑顔。話題はおしゃれのこと? それとも気になる人のこと?
|