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木皿から住宅材まで
安芸郡馬路村は昨年四月、村農協、森林組合などと共同出資して第三セクター「エコアス馬路村」を立ち上げた。
エコアスは村の森林資源の有効利用と公益的機能の充実を目指し、木材生産、加工、販売の各事業を一元化して展開する。林業不況に悩む村の活路を開く「切り札」としての役割を担うことになる。
企画総務、加工、事業の三課で構成し、職員は十八人。過疎に悩む村にとって、若者の定住と林業後継者の育成は急務だ。このため雇用対象は基本的に四十歳以下とした。職員の平均年齢は二十八歳と若い。村内在住者だけではなく、Uターンの若者や村外出身者らも含め、幅広く採用した。
事業課は最前線の山の作業を担う。同課の事業班(フォレスターチーム)には九人の職員がいるが、林業経験者は四人で、あとの五人は初心者だ。
昨年から森林組合の協力を得て、魚梁瀬、馬路の両地区で間伐、伐採した木材の搬出作業のほか、造林や育林、林業機械の技術研修などを続けている。エコアスでは三−五年かけて独り立ちさせ、村の林業の担い手を育成する計画だ。
加工課の六人は間伐材の利用促進のため、自然循環型商品の木製トレイの生産を担当する。
馬路地区にある事務所兼加工場には、少量多品種型と一定の規格に対応する二ラインが入ったばかり。「来月には試験操業を行い、三月には本格稼働を目指す」としている。
トレイは、全国森林組合連合会と売買の基本契約を結んでいる。二ラインで一日に最大二万二千個の生産が可能で、「今のところ長方形の製品を計画しているが、今後、需要に応じて馬路らしさのある商品を開発していきたい」。
トレイの素材は乾燥させていない杉のグリーン材(生木)を使用し、厚さは約一ミリ。エコアスが間伐した木を村内の馬路林材加工協同組合で製材し、その後、加工場で製品化する。
エコアスの代表を務める上治堂司村長は「トレイの利益率は決して高くはない。けんど、生木は柱材でなかなか売れんき、間伐しても製材の出口で止まっちゅう。その出口を開けるのがトレイの役割だ」と話す。
その上で「若い後継者が切った木を地元で製材にかけることで、そこに金が落ちる。エコアスのもうけは少のうても、村全体で考えたら利益になる。森の仕事が循環していく」。
高知市に情報館
村はエコアスとともに、森の里復興計画に取り組んでいる。まず昨年三月、林材加工組合の隣接地に約三千平方メートルの「山元貯木場」を整備した。民有林の木材はこれまで、川下にある村外の市場にいったん運んでいたが、運送経費や市場手数料などのコストを削減するため、村内で対応できる仕組みをつくった。
さらに、高知市南御座に「森の情報館」を建設中だ。同館は建築材として村内の杉を使い、柱材の一本一本に値段を付けて「魚梁瀬杉の家」の情報を発信し、モデルハウスとしても活用する。三月十日には落成式を行う予定で、完成後はエコアスに運営を委託するという。
エコアスは、森林組合や地元の製材業者とタイアップして、伐採から住宅の設計施工までを手掛ける「馬路の森の総合産業化」を目指しており、同館を企画総務課の営業・販売拠点として活用する。「六十年生以上の木材の品質を保証する『木の履歴書』なども作成し、魚梁瀬杉のブランド化を図りたい」としている。
また、ユズ加工品とともにトレイなどの木製品を展示販売することで、村と顧客をつなぐ窓口とする。間伐体験ツアーなども行い、「馬路の森のファン」を広げる構想で、その成否は村の将来を左右すると言っても過言ではない。
【写真】伐採から製材、加工、販売まで一元化する仕組みづくりを進める安芸郡馬路村。木のトレイは試作品(同村の馬路林材加工協同組合)
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