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システム改革が急務
少子化を背景に、間もなく人口減社会に突入する日本。国民は少子化をどう受け止めているのだろう。
総理府が昨年二月、十八歳以上の男女を対象に、少子化に関する世論調査を初めて実施した。<右図上>のように、少子化に関心がある人は「とても」「多少」を合わせて七二・一%に上る。
少子化が及ぼす影響(複数回答)については、既にみたように「社会保障など若い人の負担が増える」六九・二%、「人口の減少に伴い社会全体の活力が低下する」五〇・六%など、マイナスに受け止める回答が多い。逆に「受験競争が緩和する」「環境問題が緩和する」など肯定的にとらえる人は少数だ。
また、少子化対策に関する考え方<右図下参照>は、「環境整備によって少子化の解消を期待すべきだ」が過半数を占め、「結婚や出産そのものの奨励」や「個人の問題なので対策はすべきでない」は二割足らずにとどまっている。
国立社会保障・人口問題研究所総合企画部第四室の金子隆一室長は「政策的にできるのは、結婚や出産の障害を一つ二つ取り除くことだけだ」とした上で、
「子どもを産むということに関しては、これまでの社会経済システムは破たんしている。少子化はその現れだ。男女共同参画社会のシステムを構築しないと。結婚や出産は個人の自由な意思によるが、それがスムーズに行えるようにするため、また多様な生き方ができるようにするためにも、みんなが考えないといけない問題だ」
と強調する。
□出生率上昇にも
一方、中央大経済学部の大渕寛教授(経済人口学)は人口減社会への対応という視点から、社会経済システムの転換の必要性を指摘する。
「これまでのシステムは人口増に対応したものだ。人口の減少は、数十年は続く。だから、減少に対応したシステムをつくることが緊急の課題だ」
とした上で、具体的な改革として(1)行財政のスリム化と規制緩和(2)人口減地域でも成長、活力の維持ができる新しい産業の創出(3)年功序列や終身雇用など日本型の雇用慣行の見直し(4)労働力需給のギャップの解消―などを挙げる。
「労働力の問題では、女性の活用が一つのカギとなる。現在は職場環境や企業風土がネックとなって、能力のある女性を十分に生かしていない。これからは女性を活用できない企業は伸びない」
「特に男性の意識改革が課題だ。例えば労働時間の短縮も、やればできないはずがない」
そして「社会経済システムの転換が、将来の出生率の引き上げにつながるはずだ」と強調する。
大渕教授も委員を務める人口問題審議会(厚相の諮問機関)は一九九七(平成九)年、「人口減社会、未来への責任と選択」と題する報告書をまとめた。
報告は少子化の影響への対応として、(1)就労意欲を持つあらゆる者が就業できる雇用環境の整備(2)公平かつ安定的な社会保障制度の確立(3)地方行政体制の整備、地域の活性化―などを提示。
また、少子化の要因への対応として、「子どもを持つ意思のない人らを、心理的に追いつめるようなことがあってはならない」「女性は当然家庭にいるべきだといった認識に立たない」などの留意事項を指摘した上で、固定的な男女の役割分業や雇用慣行の是正、子育て支援策の推進などを挙げている。
そして報告は最後に、システム改革を通じて実現される社会は「結婚や子育てに希望が持て、子育ての持つ本来的な楽しみや喜びを夫婦ともに実感できる、ゆとりと潤いの感じられる社会」とする。それが実現できるかどうかは、国民一人ひとりの努力にかかっているといえそうだ。
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