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減船を乗り越えて
平成十年秋、FAO(国連食糧農業機関)の政府間協議で日本は遠洋マグロ船の二割減船を表明する。翌十一年、不振経営体に減船を誘導し、六百六十隻の二割・百三十二隻を減船した。
本県(六十八隻)は全国割合より高率の二八%・十九隻の減船となった。漁協別では室戸が三十八隻から三十一隻に減る。衝撃的だったのは室戸岬で、十六隻から四隻にまで減少した。ほか遠洋マグロ船の所属漁協は安田が九隻、宇佐が五隻で、残るは計四十九隻に。
先頭に立って世界の荒海に漁場を開いた室戸岬漁協所属船の減少ぶりに、船員OBらは遠洋マグロ漁業の黄昏(たそがれ)を痛感した。地域経済へのダメージも少なくなかった。しかし半面、復活への動きも出始めている。
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日本鰹鮪漁連によると、日本以外の遠洋マグロ船は台湾が五百三十隻、韓国が二百十隻、インドネシアが五十隻、非漁業国に船籍を置く便宜置籍船が二百五十隻。ただし便宜置籍船のうち二百十隻は台湾人がオーナーなので、台湾船は実質七百四十隻に達する。佐藤安男指導部長が言う。
「最大の遠洋マグロ漁業国は台湾なんです。そこに日本は協調減船を呼び掛けました。で、決めたのが日台行動計画。内容は台湾船の二割減船と便宜置籍船のうち百二十隻の廃止です」
台湾を納得させるため、水産庁は便宜置籍船の一隻一隻についてオーナーを調べ上げたという。傍ら、長官通達で「便宜置籍船の取ったマグロを買うな」と商社に要請。大手を中心に、「買わない」という合意の輪が広がっている。
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減船を進める一方、遠洋マグロ業界は「海外化」を進めている。佐藤さんの話が続く。
「円高以来、ばったばったと船が倒産しました。水産庁は『経営改善を』と言いますが、生き残るには五割以上のコスト削減をしなくてはならない。そんなことが可能ですか? 考えた末、始めたのが『円高を享受する』作戦です」
具体的には▽外国人労働力の活用▽海外に基地を作る▽メンテナンスも海外で――。今、ほとんどの遠洋マグロ船は相当数のインドネシア船員を乗せている。外国のドックで修理する船も増えている。
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この六日、「まぐろ土佐船」(小学館刊)を書いた斎藤健次さん(53)=千葉県船橋市=を囲んで当時の船員や船主が集まった。輪の中に、熱心に話を聞く漫画家の青柳裕介さん=香美郡土佐山田町=がいた。
青柳さんはかつて「土佐の一本釣り」でカツオ一本釣りを全国に広げた。その青柳さんが、来年は「一本釣り」と同じ「ビッグコミック」(小学館)で「まぐろ土佐船」を連載する。
斎藤さんは感激の面持ちでこうあいさつした。
「『合栄丸』に乗れたから、皆さんの理解があったから、この本が書けました。自分の航海は終わりましたが、青柳先生が引き継いでくれます。『合栄丸』の物語がずっと続くと私は思っています」
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今、遠洋マグロ船への乗船希望者は少なくないという。斎藤さんの元にも「乗りたい」という相談が舞い込んでくる。もちろん本当に乗る者は少ないだろう。が、熱い目を注ぐ者がいることは間違いない。
遠洋マグロ漁業は冬の時代が続いている。しかし春の萌芽(ほうが)も見える。春の到来を信じながら、きょうも土佐船団は世界の海でマグロを釣っている。
(経済部・依光隆明)
=おわり=
【写真】執筆中の漫画「まぐろ土佐船」を示す青柳裕介さん。右は斎藤健次さん(12月6日、高知市内)
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