ひとつの大家族である「高知家」が、ますます元気な家族となるよう、
さまざまな発信をしてまいります。
秋を彩る、
鮮やかな色と香り
里山に黄色いユズの
にぎわい
ゆの酢を効かせた五目ずしは土佐のソウルフードの一つ。爽やかな余韻を残す優しい味が、故郷の記憶になりました。
せせらぎ会 会長
秋山 征男さん
JAを退職後地域の方々と、集会所を利用して「せせらぎ庵」を立ち上げ、地域をつなぐ場づくりと人々の田舎体験を後押しするための活動を行っている。子どもたちが目を輝かせながら体験活動をする様子を見るのが励みになると話す。こんにゃく作り、豆腐作り、餅つきなど、四季折々の体験ができる。
危ない「とげ」にご用心!
 「こうち体感ツアー」の第4回は、高知県特産のユズの収穫とユズ搾り体験。山々が赤や黄色に染まる、錦秋の大豊町を訪れました。
 11月3日、大豊町庵谷にある「せせらぎ庵」に集まったのは9組の親子。ひんやりとした山の空気が参加者を迎えます。
 まずは、せせらぎ庵を運営する秋山征男さんから、ユズを収穫する際の注意点について。「ユズには大きなとげがあり、注意が必要です。革手袋をしていても貫通するので油断をせず、枝と枝の間に深く手を入れないように」と、ユズ狩り初体験の子どもたちにとってはちょっと身構えるお話です。
 せせらぎ庵を出発して10分ほど山を登ると、ユズ畑に到着。太陽の光を受け、ユズの黄色が鮮やかに輝いています。秋山さんがはさみを使ってユズの実の取り方を説明し、高枝切りばさみの使い方も伝授。「これがとげです」と示す先には3センチほどの太くて硬いとげ。思った以上に大きなとげに、驚きの声が上がりました。
 一方、ユズの葉は形が特徴的で、葉の付け根のところに「翼葉」というハート形の小さな葉が付いています。「こんな形ながやね」「かわいい形」と親子で会話が盛り上がります。
 いよいよ収穫が始まり、こわごわユズの枝に触れる子どもたち。ユズのなり口にはさみを入れますが「う~。硬い~!」。ユズの木は密度が高く、硬いのですりこぎに利用されるほど。両手ではさみをギュッと握り、ようやくパチン! 切り口から爽やかな香りがふわりと漂い「いい匂いがするね!」と親子で顔を見合わせました。
 最初は苦戦していた参加者たちも、慣れてくるとスムーズに。女の子が「ねじりながらやったら切れやすいで!」と教えてくれました。
 時々「疲れた」と休憩を入れながら、夢中で収穫すること1時間。四つのコンテナは満杯になり、ひとまず終了。次は、これをせせらぎ庵に運んでユズ搾り体験です。
皮、果汁、種も活用できる柑橘  大豊町のユズは古くから自生していて、秋山さんも小さい頃からユズ狩りを手伝っていたといいます。自然のユズの木はとても大きく、当時は高枝切りばさみや厚手の革手袋はなく、作業はとても大変でした。現在、ユズ畑の木は毎年丹念に剪定し、背を低く、横に広がるように育て、日当たり良く収穫しやすいようにしています。
 大豊町では農家が生産したユズを加工所に集めて搾り、ゆの酢として販売するほか、ジュースやゆずポン酢などの加工品を作っています。「通常は機械で搾りますが、今日は手搾りを体験してもらいます。手がつるつるにきれいなりますよ!」と秋山さん。
 この日は、せせらぎ庵のベランダを加工所にユズ搾り。不織布を張ったボウルの上で、半分に切ったユズをギューッと押しつぶすと、果汁がじゅわじゅわとあふれ出します。搾り過ぎると苦味が出るので、子どもの手の力がちょうどいいのだとか。辺り一面、ユズの香りに包まれました。
 搾り終わったら各自瓶に詰めてお土産に。残った種はそのまま焼酎に漬けると化粧水ができると聞き、お母さんたちのお土産になりました。「搾った皮でゆずみそを作ったらおいしいよ」と、秋山さん。用意してくれたレシピを見て「作ってみよう」とユズ皮を持ち帰ったお母さんもいました。
 プログラムの最後は地域の皆さんが作ってくださった、ユズを使ったお料理が並ぶお昼ご飯。ゆの酢の効いた五目ずし、リュウキュウの酢の物、山の幸豊かな豚汁、天ぷら、煮物、デザートまで、地元の味をおなかいっぱい堪能しました。
 「とげが痛かったけど、いっぱい取れて面白かった」「初めてだったけど楽しかった」などの感想を寄せてくれた子どもたち。たくさんの黄色いユズを抱えて帰路につきました。