ひとつの大家族である「高知家」が、ますます元気な家族となるよう、
さまざまな発信をしてまいります。
海からいただく、豊かな恵み。太陽と風の力、人の手で作る結晶。
真っ白な出来たて天日塩を、よ~く見ると小さな不純物が。一つ一つ丁寧に取り除き、人の目・人の手で仕上げます。
太陽と風と一緒に塩をつくるスター 渡辺 春芳さん
「塩は微妙なところを感知するがよ」。自然相手は難しいがやりがいがあると語る、天日塩作りのベテラン。熊野浦を愛し、全国の人においしい塩を届けたいと仕事に精を出す。
くみ上げた海水をそのまま原料に
 4回目の「こうち体感ツアー」。黒潮町熊野浦を訪れ、天日塩作りを体験しました。
 きれいな海に面した黒潮町は、天日塩を作る業者が5軒もある塩の町。火を使わずにゆっくりと結晶させた塩はミネラルたっぷり! うまみに富んだまろやかな味わいが特徴です。
 海のすぐそばにある「企業組合ソルトビー」に集合したのは、10組の親子。塩作り15年の渡辺春芳さんと、元気印のソルトビースタッフのみなさんが先生です。
 まずは「海水からどうやって天日塩を作るか」のお話。ソルトビーでは、河口から離れた場所に取水パイプを設置し、満潮時のきれいな海水だけをくみ上げています。
 それをジグザグに網を張り巡らせた採かんタワーに流し、落ちてきた海水をポンプでくみ上げてはまた流し、ゆっくりと水を蒸発させて海水濃度を上げていきます。海水の塩分濃度は3~3.5%。それを1カ月かけて18%まで濃くすると、塩のもとになる「かん水」の出来上がり。ビニールハウスの木箱に移し、ゆっくりと結晶させ、かん水の濃度が30%になったら底にたまった塩を収穫します。脱水し、目視で小さな不純物を取ったら、天日塩の完成です!
 塩を採取したあとの液体は、豆腐の凝固剤として使用される「天然にがり」。そのにがりとかん水、海水の三つのビンを取り出し、「はい、味見してみて!」と渡辺さん。子どもたちは指先につけてなめてみます。「からい!」「うへぇ!」と顔をしかめ、味の違いを確かめました。
 にがりには海のミネラルが豊富に含まれ、「肌にもいいんですよ」とソルトビースタッフの中島昭子さん。次は、バケツに入れたにがりをしばらく置いておくと白い沈殿物ができ、その「にがりせっけん」で手を洗う体験です。手につけてすり合わせ、水で洗い流すと「ツルツル!」「すべすべ!」と驚きの声。これもうれしい副産物です。
しみじみ味わう、豊かな自然の恵み
 塩作りのお話を聞いた子どもたちは、ビニールハウスに移動して撹拌を体験。ずらりと並ぶ木箱の中にはかん水が入っていて、底には白い砂のようなものが沈んでいます。「これがお塩です」と渡辺さん。箱によっては大きな粒が見えていたり、さらりとした粉のようだったり、育ち具合が異なります。「このヘラで箱の底をゆっくりとなでるように、まんべんなくかき混ぜてください」という渡辺さんの教えに従い、真剣な表情で挑みます。
 この中で、夏場は1カ月、冬場は3カ月ほどかかる塩作り。塩はとても繊細で、気温や湿度の変化によって結晶のでき方が異なるといいます。収穫どきはこの道15年の勘でわかり、渡辺さんが「今日はこの箱の中のお塩を収穫します」とボーメ計を取り出して塩分濃度を測ると、ピタリ30%。箱の中身をバケツにくみ出し、ザルにあけて白い粒を布袋の中へ詰めます。布袋ごと機械に移し、脱水すること5分。キラキラと輝く真っ白な天日塩が出来上がりました。
 化学的に作った精製塩と再製加工塩、天日塩の味くらべをした子どもたち。「これがおいしい!」と指差したのは天日塩! 昼食は、そのおいしい塩を使って女性スタッフが作ってくれたお料理をいただきます。
 炊きたてごはんに天日塩を混ぜ、自分でにぎる塩むすび、黒潮町が誇るカツオの塩たたき、特産のシメジの天ぷら、豆乳ににがりを混ぜた出来たておぼろ豆腐、天日塩をまぶしてもんだキュウリの浅漬け。塩が食材のうまみを引き立てるシンプルな料理に、大人からも子どもからも「おいしい!」の声が上がりました。
 30トンの海水から、かん水は約100リットルになり、ビニールハウスの中で塩はわずか12.5~15キログラム。手間ひまかけた、貴重な自然の恵みにふれました。