全国から集まった高校ペン児たちが毎夏、熱戦を繰り広げる「まんが甲子園」。今年は8月8、9の両日、高知市文化プラザ「かるぽーと」で開かれる。その「まんが甲子園」で優勝するための願懸けをしてもらおうと造られた神社がなぜか、高岡郡大野見村にある。その名も「まんが神社」。建立から5年―この神社がペン児らにどのくらい認知されているのか、神様には失礼ながらちょっと調べさせてもらった。
【写真上】カラフルな屋根が目を引くまんが神社。周囲を山や田畑に囲まれ、静かな雰囲気だ(写真はいずれも大野見村久万秋)
県外高校生80人
まんが神社はもともと、日本漫画家協会理事で「まんが甲子園」の審査員を務める牧野圭一さんのアイデア。当時、同村の村長だった正岡浩さんと建設を計画していたが、平成5年2月、正岡さんが亡くなってしまった。このため、村内有志による「まんが神社をつくる会」が遺志を受け継いで10年7月、同村久万秋に建設した。
同村久万秋の県道窪川―船戸線から1キロほど山あいに入った場所にある。鳥居をくぐると赤、青、黄色の派手な屋根をした神社。内部には、四万十川沿いで集めた木のこぶなどをくっつけて作ったご神体が鎮座しているのをはじめ、同村出身で幕末に須崎で活躍した医師、古谷竹原が描いた漫画の元祖とも言える絵画などの奉納品が飾られている。
「こっちの方が人が来る。根強い人気やねえ」。「つくる会」代表の西岡英男さん(58)=同村久万秋=は、まんが神社のすぐ脇にある「腰神様」を眺めながら苦笑する。
「それでもね、まんが甲子園の時期が近づいてくると、高校生なんかの参拝者が増えてくる。わざわざ京都から探して来る人もおるし、県外の高校生が80人くらい来ちょった時もあった」と西岡さん。月に1回程度、おさい銭を回収に来るそうだが、1カ月で5000円くらい入っていることもあるという。県外のペン児には意外と人気があるようだ。
【写真下】神社内部には奇妙な形をしたご神体=左下=をはじめ、5年前のまんが甲子園で準優勝した梼原高校まんが研究同好会の作品などが奉納されている
「聞いたことない」
「大野見村にまんが神社があるのを知ってますか?」
まんが甲子園に出場した経験がある県内の高校10校程度に質問してみたところ、「まんが神社!? 大野見村!? 聞いたことありませんねえ」「誰も知りません」といった答えがほとんど。漫画王国・土佐としてはちょっと寂しい気もする…。
「家族と一緒に4、5年前にお参りした部員がいます。文化祭でかつて、まんが神社の写真を飾ったりして発表したこともありますよ」。今年8月の本大会に出場する土佐女子高のマンガサークルだけが唯一、うれしい答えを返してくれた。
「こっちから何かイベントを仕掛けんと、来てくれないのでは」と、西岡さんは頭を悩ます。まんが甲子園に同神社からみこしを出す案も考えたが、政教分離の問題もあり、かなわぬ夢に終わってしまったという。
「まだ1回も神祭をやっていないので、全国で会員を募って神祭をやろうかとも。周囲をキャンプ場にして静かにマンガを描いてもらったり…あんまり静か過ぎていかんろうか」などと思案中だ。
御利益あるのに…
気になる御利益の方だが、神社ができたばかりの5年前、梼原高校まんが研究同好会が願懸けしたところ、その年のまんが甲子園の本大会で一度は敗退したものの、敗者復活戦で勝ち上がり、準優勝に輝いたことがあったという。
そのほかの御利益話については、神様に失礼になってはバチが当たるので、これ以上深くは追及しないでおこう。信ずる者は救われる―高校ペン児の皆さん、まんが神社にウエルカム! (窪川支局・小川一路)
2003年7月17日(木)朝刊
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