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8月3日(日)
優勝は沖縄の昭和薬科大付属高 2回目の挑戦で頂点に
高校漫画サークル日本一を目指して三十校が激突した「第六回全国高等学校漫画選手権大会(まんが甲子園)」の決勝戦が三日、高知市布師田の高知ぢばさんセンターで行われ、二回目出場の沖縄県・昭和薬科大付属高が初優勝、全国三百九校、約四千五百人のペン児の頂点に立った。県勢も健闘。四校が決勝に進出し、高岡高が惜しくも二位。岡豊高も入賞を果たした。
決勝戦には二日の第一次競技(テーマは「旅」)を勝ち抜いた十五校と、厳しい敗者復活戦(同「ボランティア」)をくぐり抜けた五校の計二十校が挑戦。午前十時、審査委員長のやなせたかしさんが決勝テーマ「携帯○○」を発表し、ドラの合図とともに制作ブースに散った。
事前に与えられていた五つのテーマのうちの一つで、「携帯」の次の「○○」に何を持ってくるかがキーポイント。アイデア力が試されるテーマで、「これならもらった」と早々と作画に入るチームもあれば、準備していた案を急きょ練り直すチームも。午後四時の制限時間いっぱいまで熱闘が続いた。
力作ぞろいで審査は予定時間を二十分オーバーするほど難航。結局、「野良犬が捕獲を逃れるために、風船でできた“携帯飼い主”を膨らます」――という昭和薬科大付属高の作品が、最優秀の栄冠を勝ち取った。
また、過去最多の五校が出場した県勢は、初出場の小津高が敗者復活戦で涙をのんだものの、岡豊、土佐塾、高岡、高知工の四校が決勝に進出。このうち、二回目出場の高岡高が二位、六回連続出場の伝統校・岡豊高が審査委員長賞に輝いた。
【写真】優勝に感極まって泣き出す昭和薬科大付属高のメンバー
歓喜の沖縄5人娘 終了寸前の作品でV
「まさかっ!」「ほんとう…!?」―。「最優秀は沖縄、昭和薬科大付属高」とアナウンスが響いた瞬間、沖縄の五人娘は選手席に座ったまま互いの顔をきょとんと見合わせた。ひな壇に向かう途中も放心した表情。やがて割れるような拍手と歓声に包まれると、大粒の涙。混戦の決勝戦。五人娘は沖縄県に、まんが甲子園初の受賞、それも大きな優勝旗を運んだ。
しゃれたアイデアと構図で第一次競技を無事突破したものの、「携帯○○」をテーマにした第二次競技は制限時間ぎりぎりまで悪戦苦闘。前半のスローペースが響いて画用紙になかなか全体の構図が現れず、他校からは置いてきぼり状態。
作品ができたのは、午後四時のタイムアウト寸前。「もうペンを置いてください!」と無情に連呼する進行係のアナウンスに、「だめだ!」「やばい」「間に合わないよーっ」と悲鳴のような五人の声。ところが、その苦心の作品が他校を圧倒。保健所職員に捕獲されかかった野良犬が、風船で膨らました携帯用の飼い主を作って難を逃れる構図は一目で笑えた。
本大会出場は昨年に続き二度目。入賞を逃した昨年の雪辱を見事に果たした。
二日間、ずっとそばで選手を見守ってきた、五人の友達のような顧問の大田一夫教諭(36)と抱き合うように制作ブースに戻ってきたメンバーは、「私たち、みんなのんびりだから、いつもこうなって…」と真っ赤な目をして照れ笑い。安室ブームなど最近の“沖縄旋風”について、三年生の高良玉代さんらは「本土の人が感じている沖縄と私たちの思っていることとは少しずれていると思う…」と言いながら、口をそろえて「いい思い出になったね」と最高の笑顔を見せ、ライバル校の選手たちと手を取り合った。
【写真】「最優秀校」に選ばれた瞬間、驚き、喜び、涙ぐむ昭和薬科大付属高チーム
漫画王国の本領発揮 高岡と岡豊
前々回からツーランクアップの二位に輝いた高岡、伝統の底力を発揮して特別賞の岡豊、決勝進出の高知工と土佐塾など県勢各校は、今回も漫画王国・土佐の名に恥じない活躍を見せた。
高岡にとって、決勝テーマの「携帯○○」は最悪だった。前夜のミーティングでいいアイデアが浮かばず、「(このテーマが出ないよう)あした東の空に祈ろう」と決めていた。ところが、寝ぼうして祈る暇もなく、会場で発表されたのはこのテーマ。「天罰じゃー」と絶叫した。
最初の二時間はアイデアをめぐってけんかしたが、五人そろって高岡中イラスト部出身という団結力が物をいった。メンバーの一人がJR高知駅に公衆電話をスケッチに走り、公衆電話の中で雨宿りしながら携帯電話をかける作品を物にした。結果は第四回大会の審査委員長賞を上回る二位。三年の角田潤部長(17)は「信じられない。肩に湿布を四枚張ったけど、痛みも吹き飛んだ」と涙、涙でメンバーと喜び合った。
岡豊は過去五回出場中、最優秀一回を含む四回入賞という伝統校。メンバーは「自分たちはみんな初出場だけど、先輩からは『優勝できんでも三位は狙え』と言われて、プレッシャーがかかった」と打ち明ける。
一方で、細かな色遣い、ストーリー性あふれるアイデアなどのノウハウは先輩から脈々と受け継がれている。何よりみんなが漫画好きで、「まんが甲子園に出たい一心で岡豊に入った」というメンバーも。審査委員長賞に、三年の友永あゆみさん(17)は「もう駄目かと思って、足が震えていました。やっと楽になれました」とほっとしていた。
高知工高はインテリア科三年のクラス代表という漫画素人集団ながら、初出場で決勝に進出した。谷村咲子部長(17)は「優勝の言葉も考えちょったに、悔しい。けど、十分楽しめた」。また、土佐塾三年の小原千沙部長(17)は「力は出し切れました。来年、後輩に頑張ってもらいたい」とさわやかな笑顔を見せた。
【写真】予想外の2位に輝き、先生らと喜びを爆発させる高岡高チーム
####### 会場の声 #######
★「二回目の出場。地元マスコミにも大きく取り上げられるなど、反響は大きかった。生徒たちは、決勝でものびのびと描いてくれた。多数の地元高校生がボランティアで大会を支えていることにも感心した」(北海道・私立北広島高、佐藤茂雄教諭)
★「作品は絵も大切ですが、やはり発想が一番。時にはけんかもしながらみんなで議論していくうちに、いいアイデアが生まれてきました。初参加ですが頑張れました」(入賞した東京・都立芸術高三年、山口功さん)
★「敗者復活戦で敗れ、すごく残念。アイデアがうまくまとまらず、チームの連携プレーもいまひとつだったのが敗因でしょうか。初出場でこれも貴重な経験。後輩たちには生かしてもらいたい」(小津高三年、丸岡弓記さん)
★「一次予選では時間配分を誤って敗退。発想には自信があっただけに悔しい思いです。好きな漫画を通じて他校の生徒たちと交流ができたことは大きな収穫でした」(大阪・私立初芝高二年、岡本周三さん)
★「どの作品もよくまとまって高レベル。高校生たちの真剣な表情に、漫画の世界の厳しさを垣間見る思いがしました」(高知市、土居美知子さん)
★「多くのイベントを楽しめました。まんが甲子園も、現代の高校生たちの考え方がダイレクトに伝わってきて興味深かった」(高知市、松尾裕輔さん)
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