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第11回黒潮マンガ大賞 大賞受賞者の横顔
<コマ部門>横山 信夫さん
大病克服し再び意欲
「大賞とは、予期せぬこと。素直に描けた作品でしたが、入賞は読売国際漫画大賞(優秀賞)以来、実に十九年ぶりでしたから」
倉敷市西富井の自宅で、「本当に励みになった」と喜ぶ横山信夫さん(66)。五十代で大病を患い、岡山県教育委員会を定年退職した後も、しばらく漫画から遠ざかっていたのだという。
「体が元に戻るまで十年かかりました。三年前からまた漫画を始めたんですよ。年のせいか、なかなかアイデアが出なくて、描けないんですよ」
受賞作「多過ぎた来賓」が生まれたのは、偶然見たテレビニュースがきっかけだった。ビル完成のテープカットのニュースで、はさみを持つ人が多すぎて、端の人が画面から切れていたという。これは漫画になると、ピンときた。
「多すぎた人が隣のビルの前にいるのでは、面白くない。ならば田んぼの中がいいと思って、そこで完成祝いもビルから道路にしたわけです」
高校時代から清水崑の漫画が好きで、「弟子にしてください」と手紙を書いたこともある。社会人になってからも、漫画サンデーの「漫画大学」の常連になるなど、投稿を続けていた。
ありそうにない、そんなばかなと思うことが漫画になる。それを絵の中にうまく凝縮して物語にするコマ漫画にこだわってきた。
「野球観戦以外、ほとんど無趣味。漫画だけです」という横山さん。大賞を機に、次の公募展への意欲もよみがえってきた。
【写真】「漫画はやっぱりコマ。1コマの中にどう物語を織り込むかです」と話す横山信夫さん(岡山県倉敷市西富井の自宅)
<ストーリー部門>伊藤 紀子さん
家族の歩み 絵日記に
高知県からは六年ぶりの大賞受賞者となった伊藤紀子さん=吾川郡伊野町天王南七丁目=は、三十二歳の会社員。五歳と二歳の娘が寝静まった土曜日の夜に、食卓でまとめて執筆した。
「大賞受賞は夢みたい。高校(佐川高)時代に漫画家を目指して、少女雑誌によく投稿しましたが、『期待賞』止まりでしたから」
受賞作「のりこ絵日記」は、本人の絵日記が土台。夫の浩市さん(35)と知り合った平成四年から始め、結婚、出産、子育てと家族の歩みを絵で残してきた。面白かったことや感動したことは、写真やビデオよりも漫画の絵の方が記憶が鮮やかによみがえるという。
「将来、子どもに昔のことを話すために描き始めた絵日記ですが、保育園の先生や周りの人に見せているうちに、自然に黒潮マンガ大賞に出してみたいなという気持ちになりました」
七冊たまった日記から、えりすぐりのエピソードを作品化した。作中の釣り好きの夫は、浩市さんそのもの。いきいきしたキャラクターが評価されたとあって、浩市さんも「(大賞受賞は)おれのおかげだ」と喜んでいる。
賞金の行き先はもう決まっているそうで、両親との会食、子どもの二段ベッド、東京ディズニーランド行きに加え、書き物用の机を購入するという。
「漫画も趣味として続けますが、その机で子どもに絵本をかきたい。夜寝る前に読んであげるんです」
子どもの夢をはぐくむ母親の愛情から生まれた大賞だった。
【写真】「子どものために絵本もかきたい」と話す伊藤紀子さん(高知新聞社)
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