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コマ部門
応募数は前年(577点)並みの582点。一次審査でまず審査員3人以上がマークした作品28点がパスし、これを再度ふるいにかけて絞り込んだ結果、10点が最終選考に残った。
この後早速、大賞決定へと作業を進めたが、面白いもので一次審査で審査員全員がマークした作品がそのまま有力な大賞候補になるとは限らない。最終選考に残る作品はそれぞれに持ち味があり、審査員の好みも分散して混戦模様に。
結局、消去方式で決めた大賞には、鹿児島県姶良郡姶良町、中島智弘さん(56)=第3回入選=の「野次馬」が輝いた。点滴しながらの入院患者が火事場まで出てきて…という図に、横山氏は「相当な野次馬。絵を見てパッとタイトルが浮かぶ」、やなせ氏は「思わず笑っちゃう。点滴道具なんかも実によく描けているし」。着想と構成力の勝利だ。
大賞を競い合った作品はいずれも佳作、入選に収められたが、東京都八王子市の山根青鬼さん(61)の「母ちゃん、ゴメン」が、プロの漫画家らしい出来栄えで佳作に。「泣かせるよね。こういうの好きなんだよなあ」(岩本氏)、「ストーリーがあって鉄格子の『黒』も効いている」(はら氏)と人気を集めた。
県勢でただ1点、最終選考に残ったタイケヒデミさん(30)の「豆腐二丁ください」も「文句なしに面白い」(青柳氏)、「四コマ目の立ち去る後ろ姿が何とも言えない」(はら氏)と熱い視線を浴びたが、一歩届かず。なだちえんとさん(42)の「失楽園・ヤドカリ編」については、「タイトルが効いている」(矢野氏)のが強みだが、「不倫ものが大賞というのは…」と腕組みする審査員も。これが響いて大賞レースから脱落した。総評としてはプロの積極的な応募が目立つ中、若い人も頑張っているが受賞レベルにはなかなか届かない。岩本氏は「感性だけで勝負できるケースもあるが、人生が集約されたようなコマ漫画にはある程度の年齢が必要になるかも」と指摘。「絵とアイデア、キャプションをうまくかみ合わせる」(矢野氏)のもポイントだ。
題材には「たまごっち」や女子高校生のルーズソックスなどが多く登場して世相を映したが、今回はB5判サイズより大きい「規格外」の取り扱いも審査上のホットな議論に。応募者はくれぐれも規格順守を。
ストーリー部門
31点が集まったストーリー部門は家族関係など身辺を題材にした作品が目立ったが、審査員の感想は「絵はうまいが、全般に作者の主張が弱い」で一致。審査開始早々に大賞該当作なしが決まるという寂しいスタートとなった。
審査は筋書きや絵の技術を比較して、残った12点の中から各審査員が推薦し合う形で進んだ。
まず佳作候補に挙がったのが千葉市のアルバイト、オオサワハルコさん(25)と高知市の主婦、のりこさん(36)の2点。オオサワさんの「SKYSCAPE」を、はら氏が「絵が丁寧でワンランク上。メルヘンチックな展開もいい」と推し、のりこさんの「当世父親考」も「筋書きがきっちりしている」(青柳氏)と競り合った結果、軍配は少年に飼われている魚の感情を空想的に描いた「SKY―」に。
入選は惜しくも佳作から漏れた「当世―」を含めて4点。絵のうまさで東京都杉並区の事務員、PKS2000−330さん(28)=第8回入選=の「眠りの国からコンニチハ」、大分県津久見市の主婦、卓信尚子さん(46)の「十五の夏」は「語り口のうまさ」(矢野氏)が買われた。高岡郡中土佐町の船員、なかはらしげひろさん(47)の「一平ちゃんのへのへのもへじ」は個性的な絵に評価が集まった。
総評で矢野氏は「人を引き込む面白さ、意外性を取り入れて」と助言。青柳氏は「自分の考えをはっきり言わない今風の人間関係が現れたのかもしれないが、絵がうまいという器用さだけでは漫画にならない。十周年の次回は面白い作品をどーんと応募してほしい」と奮起を期待した。
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