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講評
審査委員長 やなせ たかし
技術に加え知性も磨いて
第一次競技では課題が難しくて、皆苦しんだようだった。作品の出来もいまひとつで心配していたが、最終的には例年より高水準だったように思う。
最優秀に選ばれた沖縄県昭和薬科大付属高の作品は、野良犬がご主人さまを携帯していれば捕獲されないというもの。発想がとぼけていて、ご主人さまがなぜか西郷隆盛に似ている点も面白い。その上、犬が空気入れを使っていて「やっぱり捕獲されるのでは」と思わせるペーソスがある。
第二位の高岡高(高知県)。携帯電話というありふれた題材を、視点を変えて公衆電話の方を主役にした点を買った。現代の風俗にぴったりだ。第三位の名古屋西(愛知県)は子供っぽい発想だが、現代の高校生がこういった温かい作品を描けるということに、ある種の驚きを覚えた。
審査委員長賞を受けた岡豊高(高知県)の作品には、孫の帰省を待ちわびる老夫婦が「まごっち」で楽しく暮らしているように見えて、実は悲しみや孤独感が潜んでいる。三コマ漫画として構図やせりふも完ぺきだが、逆に完ぺき過ぎて最優秀を逃した。
実行委員会会長賞の豊明高(愛知県)。高気圧のボールを投げるというありえないことを描いた点が、審査員の間で人気を得た。協賛団体賞の芸術高(東京都)は、女性の絵はうまくかいているものの、顔と仮面をうまくかき分けていたらもっと上位に進めた。
漫画には絵の腕も必要だが、インテリジェンスの方がもっと大切。漫画家を志す人は漫画だけじゃなく、語学でも何でもいい、自分の好きな教科を身に付けないと漫画家としてはやっていけない。現代の高校生が何かと批判の的になっている中で、皆さんを見ていると素朴な人が多くて「日本の若者はまだまだ大丈夫だ」と安心した。
(談)
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