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 まんが王国・土佐 香北町立やなせたかし記念館
アンパンマンミュージアム

2001年8月23日 朝刊

 アンパンマンと二人三脚5周年 香北町

 香美郡香北町の「町立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアム」が、今夏で開館5周年を迎えた。すっかり「アンパンマンの町」として知られるようになった同町と、記念館の5年間の歩みを振り返る。

開館5周年を迎えたアンパンマンミュージアム。相変わらずの人気ぶりだが、入館者の減少など課題も出てきた(香北町美良布)  ▼町中にキャラクター

 香北町でミュージアム建設の話が持ちあがったのは、平成五年ごろ。当初は町の総合文化会館を建てる計画で、一角に「やなせたかしコーナー」を設ける予定だった。ところが、やなせさんから作品や資金の提供を受けたことで、計画は「アンパンマン美術館建設」へと生まれ変わった。

 八年七月二十一日に同ミュージアムがオープンしてからの香北町は、まさにアンパンマンと二人三脚で歩んできた。

 アンパンマンのキャラクター人形が並ぶ美良布商店街は、スタンプラリーや側溝のふたへのペイントなどで観光客にPR。町職員の制服や名刺にはアンパンマンが登場し、野島民雄町長はアンパンマンのネクタイがトレードマークになった。

 同町には現在、年間約六十万人の観光客が訪れる。野島町長は「たとえミュージアムに行かない客でも、アンパンマンが呼び込んでいる効果もある」と評価。隣接するホテル「ピースフルセレネ」の営業にも好影響を及ぼしているという。

 ▼予想以上の盛況

 地方自治体が建設した“箱物”といえば、赤字がかさんで自治体の財政を圧迫する、というのがお決まりのパターン。だが、同ミュージアムには当てはまらない。

 建設に当たり、やなせさんは「おそらく赤字は免れない。自分が穴埋めをしなければ」と考えていたそうだが、開けてびっくり。次々と客が入り、わずか四十九日で十万人を突破する人気施設が誕生した。

 入館料が町の収入になるため、運営を委託されているアンパンマンミュージアム振興財団の会計は見掛け上、町からの委託金や補助金が多い。だが開館した八年度以来、赤字は企画展開催による出費が増えた十二年度だけ。累計赤字に転落したことはなく、十二年度末で二千万円余りの黒字決算となっている。

 オープンから二年間、同財団事務局長を務めた岡本篤志さん(現・町健康福祉課長)は「開館前は年間十万人の入館をめどに準備していた。ところが、予想の倍以上の盛況。急きょ職員を増やし、『全国から来てくれたお客さんだから』と懸命に対応した」と当時を振り返る。

 ▼町民が育てた夢

 十年八月、やなせさんが建設して町に寄贈した「詩とメルヘン絵本館」がオープン。今年七月には入館者の休憩施設を兼ねた「別館」も完成するなど、着々と「アンパンマンの町」の姿を整えつつあるが、課題も出てきた。入館者の減少だ。

 初年度は、八カ月余りの営業で二十万人突破。翌九年度も二十二万八千人を記録し、順調に入館者数を伸ばした。だが十年度からは徐々に減り続け、十二年度は十七万五千人まで減少した。

 本年度は今のところ、十二年度をやや上回るペースだが、ピーク時ほどの勢いはない。またメルヘン館の入館者数も、十二年度で約六万八千人と低迷しており、両館とも何らかの対応が必要な状況だ。

 同財団の理事長でもある野島町長は「人気を集めた手塚治虫展やドラえもん展のような企画展を開き、新たな魅力を発揮したい」と打開策を示す。だが、建設費の起債償還など町の財政負担も大きく、同町長は「今後は何らかのリストラを考えねばならないだろう」と語る。

 別館落成の日、やなせさんは冗談めかして「五年で三館。自分でもこんなに建てるとは思ってなかったんだけど…。ひょっとすると、生きてる間にもう一つぐらい建てるかもしれないよ」と語った。メルヘン館の近くに自分の墓を造って“観光名所”にする案まであるほど、ふるさと香北町への思い入れは深い。

 町財政を圧迫しないための方策は必要だろう。だが、ミュージアムはやなせさんが生み、町民が育てた“おもちゃ箱”。その財産を生かした、夢が広がる町づくりを忘れないでほしい。

 【写真】開館5周年を迎えたアンパンマンミュージアム。相変わらずの人気ぶりだが、入館者の減少など課題も出てきた(香北町美良布)

香長総局・大石博章


< 香北町とアンパンマンの歩み >
平成6年1月 町にアンパンマン美術館建設委発足
3月 やなせさん名誉町民に
7年6月 「アンパンマンミュージアム」起工
11月 アンパンマン振興財団が発足
8年7月 アンパンマンミュージアム開館
9月 開館49日で入館者10万人達成
9年4月 商店街にキャラクター人形11体設置
7月 町がアンパンマン図書館オープン
10月 「詩とメルヘン絵本館」起工
10年8月 入館者50万人
メルヘン館が開館
11年3月 初の企画展「落第忍者乱太郎」開催
8月 メルヘン館が日本建築家協会新人賞受賞
12月 「手塚治虫ワールド展」開催
12年12月 「藤子・F・不二雄の世界展」開催
13年4月 入館者100万人
7月 「別館」落成


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