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  第13回まんが甲子園  関連記事


2004年8月9日(月)<朝刊>

まさかの栄光に涙… まんが甲子園Vの西南学院

「まさか私たち?」「言い間違い?」。校名が呼ばれ驚く西南学院高校の選手たち(写真はいずれも高知市の「かるぽーと」)  西南学院高校(福岡)が初の栄冠に輝いた8日の第13回全国高等学校漫画選手権大会(まんが甲子園)。静まり返った会場に最優秀校が告げられた瞬間、5人の女子メンバーは目をむき、抱き合い、涙を流し、全国制覇を疑った。

 「ウソーッ!!」。会場に響き渡った悲鳴は、正直な気持ちだった。まったく自信はなかった。興奮の渦の中、「賞をもらうことが申し訳ない」とまで言った。

 1次競技、決勝戦と「出てほしくない難しいテーマが続いた」と黒木由衣さん(3年)。特に決勝については「いい案が全然出なかった」と全員が口をそろえる。

 「BUSHIDO」―。「武士は食わねど高ようじ」など幾つかのアイデアは出たが、どれもしっくりこない。悩み抜いた末に、「武士が通る道と、現代人が通る道」を描く案を選んだ。

 しかし、「ただのダジャレじゃん…。こりゃまずいよ」。中橋さゆりさん(3年)は、「あのネタは直球勝負じゃなくて、私たちにとって、困った末の『逃げ道』。苦し紛れだった」と打ち明けた。

 前日、1次競技の講評で、審査委員長のやなせたかしさんは、知的ユーモアを盛り込むなど「もっと高校生らしさを」と要求。このコメントに反応し、決勝ではネタを練り直したチームも多かった。しかし、黒木さんは「安直だけど素直で面白い、というのも高校生らしさだと思った」。

 その開き直りが当たった。講評でやなせさんは「漫画の王道。これでなくちゃいけない。始まって以来の傑作だと思う」と絶賛。チームには「ほかの学校も考えるネタ」との不安もあったが、ある常連校の顧問は「考えることと、それを表現できることは違う。きちっと表現できたことは勇気だと思う」と褒めた。

 「逃げ道」のつもりが実は「王道」だった―。5人は最後まで実感がわかないようだったが、「いいように評価されてうれしいです」と、無邪気な笑顔を見せた。

 【写真説明】「まさか私たち?」「言い間違い?」。校名が呼ばれ驚く西南学院高校の選手たち(写真はいずれも高知市の「かるぽーと」)

 安芸桜ケ丘 入賞ならずも前進

県勢で唯一、決勝戦進出を果たし、作品制作に励む安芸桜ケ丘の選手たち  敗者復活戦の「ごめん」には自信あり―。安芸桜ケ丘は8日朝、言葉通りの秀作を引っ提げ会場入り。ハルウララが1着になり戸惑う様子を巧みに表現した作品で、決勝進出を果たした。

 やなせたかし審査委員長も「ハルウララを取り上げたタイミングもいい。端的に分かるよくできた漫画」と最大級の賛辞。大いに気を良くして決勝戦に臨んだが、入賞には届かなかった。

 昨年も出場した3年生の近藤綾郁さんと冨田真衣さんは「やなせ先生にあれほど褒めてもらっただけで十分。決勝に残れたから去年よりは前進」。顧問の渡辺哲哉教諭(33)も「先輩の一生懸命の姿を見て、後輩も今後につなげてくれるはず」と健闘をねぎらった。

 一方、紙一重で決勝に進めなかった高知東、追手前も、審査員から「着眼点は素晴らしかった」「アイデアもよく、絵に温かみがある」との評価をもらい、実力は証明した格好。さすがに落胆の色は隠せなかったが、選手たちは「自分たちの力は出せた」「この雰囲気の中でやれたことがうれしい」と満足感を漂わせた。

 【写真説明】県勢で唯一、決勝戦進出を果たし、作品制作に励む安芸桜ケ丘の選手たち

 通信制生徒も健闘

 司学館(滋賀)、青雲(兵庫)。今大会には通信制の2校が出場を果たしたが、いずれも決勝進出を逃し、司学館の制作ブースには残念そうな顔が並んだ。

 「週に1回ぐらいしか生徒が集まることができない。だから、事前にテーマを予告されていても、前もって考える時間が少ないんです」と、顧問の上山達郎教諭(32)は通信制のハンディを説明。「しかも学校のリポートの締め切りが7月末。生徒も私も忙しくてまんが甲子園のことまで頭が回りませんでした」

 大会直前には自主登校して打ち合わせを重ねた。しかし大まかなイメージを決めるだけで細かい絵コンテまで作ることができないまま高知入り。敗者復活戦は一から考え直し、ほぼ徹夜で作業したが、努力は実らなかった。

 それでも、中島晴美さん(2年)は「選手宣誓した時は、自分の声の震えが分かるほど緊張した。でも、昔から絵を描いていたので、出場できてうれしかった」と笑顔で振り返っていた。

 学校の名前残せた

 「まんが甲子園の歴史に学校の名前を残すことができてうれしい」。入賞は逃したが、大泉学園高校(東京)のチームリーダーで3年生の山田明子さんは高校最後の夏の思い出をしっかりと胸に刻んだ。

 同校は都立高校の統廃合で来年3月に廃校になる。3年生は最後の卒業生になるだけに、「生徒たちには何か足跡を残せないかという思いがあったはず」と顧問の栗原典子教諭(42)。

 これまで2度応募していずれも予選落ち。今回は応募時点の手違いもあり、制作に取り掛かったのは締め切りの1週間前で、予選通過の知らせを「誤報かと思った」と山田さん。最後のチャンスで全国行きを決めた。

 ところが、本選では第1次競技をすんなり突破。決勝のこの日も、東京から送られてくるたくさんの応援ファクスを力に、上位を目指した。

 山田さんは「決勝に残れるとは思ってもなかった。悔いはないし、充実感がある。(本選に)出られてよかった」と笑顔で会場を後にした。

 【声、声、声】 ダルビッシュに?/同情するなら30万円

 ☆「知らない人にいきなり、『ダルビッシュによろしく』とか言われます。ダルビッシュ、ダルビッシュ言われても、僕らダルビッシュじゃないし…。自分の高校を知ってもらえるのはうれしいけど、正直『んー?』って感じです」=甲子園の有名人、ダルビッシュ君と同じ宮城・東北高2年、佐藤開君(17)

 ☆「これっていうネタが最後まで決まらなくて、結局妥協するしかなかった。全員1時間しか寝てません。不完全燃焼ですよ〜。同情するなら30万円くれ!」=敗者復活戦に臨むも落選の北海道・函館商業高1年、高橋健一君(16)

 ☆「負けたけど、そりゃあ私たちのが一番ですよ〜。来年受験飛ばしてリベンジします!」=愛知・刈谷北高2年、岡田光布さん(16)

 ☆「私たちの役割は、出場している高校生に手紙を届ける『新飛脚』なんですが、なぜかいろいろな問い合わせが多くて…。飛脚兼迷子センター兼交番みたいになってます」=ボランティアスタッフの高岡高2年、田村浩意さん(16)

 ☆「昼のお弁当を食べずに頑張ったかいがありました。賞だけでおなかいっぱいです」=3位入賞の北海道・札幌南高2年の間瀬優姫さん(16)

 ☆「昨夜は寝ずに頑張ったんで、舞台に上った時は眠たくて倒れそうでした」=三菱電機賞を受賞した広島・呉武田学園武田高1年の本田智朗君(16)

 ☆「(安芸桜ケ丘の)ハルウララは残念だったなあ。あれが決勝のテーマだったら絶対入賞していたのになあ」=敗者復活戦でハルウララを題材にした作品で決勝に進んだ安芸桜ケ丘高を評して審査委員長のやなせたかしさん(85)


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