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第12回まんが甲子園・最終日

2003年8月9日(土)

練りに練った自信作 最優秀の高崎東

最優秀に選ばれ、感激する高崎東高校の選手たち(高知市の「かるぽーと」)  第12回全国高等学校漫画選手権大会(まんが甲子園)で頂点に立ったのは、3年連続3回目出場の高崎東高校(群馬)。最優秀校に選ばれた瞬間、選手たちは悲鳴にも近い歓声を上げ、感激の涙で顔はくしゃくしゃ。「オンリーワン」をテーマに、全国高校ペン児の「ナンバーワン」に立った。

 一昨年は初出場で3位。しかし、昨年は1次競技敗退。チームは一昨年の結果を“プレッシャー”に、そして昨年の結果を“バネ”に上位進出を狙っていた。

 決勝のテーマの読みは外れたが、動揺はなかった。何度も討論を重ね、ほぼ構想が固まっていたからだ。作品は「ミス芸術コンテスト」でミロのビーナスやモナリザらが登場。それぞれの美を競うが、審査員である4人の「ロダンの考える人」が選び切れずに悩んでいるというもの。

 基本のアイデアは2年の高草木理恵子さんが出した。「絶対、上位入賞できる」。全員が自信を持って送り出した作品だった。実際、審査結果発表前に登壇した唯一の3年、嶋方槙子さんは「狙うのは優勝だけです」と強気に宣言した。

 いよいよ発表。上位3校を残しても学校名は読み上げられない。強気なら歓迎の状況だが、逆に弱気になった。「もう、駄目かも」―。全員がうつむき、手を合わせて祈ったという。

 連続出場の嶋方さんは「初出場の時の顧問の先生が転出して、漫画に詳しい人がいなくなった。部員自身もテーマを追求する姿勢に欠け、どこかナメていた」。それだけに今年はネタ出しについては皆で納得いくまで何度も話し合った。

 「オンリーワン」についても当初の構想はまったく別。ずらり並ぶミロのビーナスの偽作の中に、本物が一体。「やっぱり本物は違う」といった内容にする予定だったが、転出した元顧問の先生に見せると一蹴(いっしゅう)された。選手たちはその後も徹底討論。せりふは制限時間ぎりぎりまで練りに練った。

 嶋方さんは「最後まであきらめなかったのが良かった」と声を震わせる。あきらめずに追求し、残ったものはただ一つ。狙い通りの最優秀だった。

 【写真】最優秀に選ばれ、感激する高崎東高校の選手たち(高知市の「かるぽーと」)

 先生に恩返し

 「漫画やってるっていえば、オタクっぽいでしょう。だけど外へ開くことで偏見をなくしていこうって。そんなことを教えてくれたのが田川先生なんです」

 初出場の高島高校(東京)3年、長谷川祥子さんはそう言うと、「今年で異動になる先生に、何としても恩返ししなきゃいけないとみんなで話していた」と漫画研究部員の思いを代弁した。

 同部がまんが甲子園に挑戦し始めたのは、顧問の田川健太教諭(29)が同校に赴任した5年前から。「漫画は世間から理解されにくいが、それなら分かってもらえる努力をするべきだ」(田川教諭)との考えがあった。

 しかし、そんな先生も、都条例の規定で来春は確実に同校を去る。だから「どうしても恩返しをしたかった」。本選への出場を恩返しと考えていたが、決勝にまで進み、県市町村振興協会賞も受賞。長谷川さんは「最高のプレゼントができた」と満足げだった。

 気付いてよ…

 7回目の出場の花咲徳栄高(埼玉)は作品の中に、常連校ならではの演出を織り込んだ。

 決勝のテーマ「オンリーワン」の作品は、沈没する船から脱出した人々が、子どもを先頭に一つの浮輪につかまって泳ぐ姿を描いた。実はこの中に、過去の入賞作品で主役となったキャラクターを3人盛り込んだ。

 3年の細野みどりさんは「私たちには先輩から受け継いだ積み重ねがある。キャラクターを盛り込んだのも、そんな考えの一つ」と話す。

 しかし、そんな思いと裏腹に、講評したやなせたかしさんは「もうひとつ案が欲しかった」と注文。メンバーは2位入賞を喜ぶ一方で、「気付いてほしかった…」。

 出場機に昇格を

 「“部”に昇格したい」。今年もそんな学校が多く出場。漫画関係の部活動は全国的に浮沈が激しいようで…。

 有田工業高(佐賀)も同好会から部への昇格を狙う学校の一つ。以前は漫画研究部として活動していたが、部員減で9年度に休部。その後同好会として復活し、今回の出場を機に復権を目指す。

 会員は15人もいるが、「いつまた会員が減るか分からない。毎年生徒が入ってくる部ではないので」と顧問の津川久博教諭。そんな中、「将来のエースとして部を引っ張っていってもらいたい」と1年生も応援と見学を兼ねて同行させた。

 惜しくも入賞は逃したが、会長の瀬戸口愛子さん(3年)は「出場できただけでうれしかった。ことし学校に申告して部にします!」。

 

#######  会場の声  #######

 ☆「トイレの時以外ははだしです。靴や靴下は嫌いなんですよ。人間はやっぱり地に足を着けてないと駄目。汚れれば洗えばいいし」=会場内をはだしでペタペタ歩き回る北海道・札幌南高、大野哉教諭(42)

 ☆「カップラーメンを主催者からもらったんですが、おはしがなくてマッチ棒で食べた。青春と理不尽の味がしました」=敗者復活の北海道・函館白百合学園高3年、佐治木萌さん(17)

 ☆「高校球児だった時、甲子園に応援で行きました。形は違いますが、みんなの情熱は野球の甲子園に負けてないですね」=広島市の会社員、高倉浩さん(41)

 ☆「あまり去年のことは意識してなかったんですが、『前回は優勝でしたね』とマスコミに取材をされて少し緊張しました」=前回、最優秀校の栃木・栃木高3年、岡部健二さん(17)

 ☆「結果は素直に受け止めることができました。すっきりさっぱり気持ちを切り替えて、ミニコンサートに行ってきます!」=決勝進出を逃した岡山・高梁工業高2年、田辺悠子さん(16)


 岡豊高生作品が「まんが電車」に ANAコンテスト

 高校生の漫画作品を土佐電鉄の電車にペイントする「ANAまんが電車コンテスト」の審査会が9日、「かるぽーと」で開かれ、岡豊高の生徒3人の作品が優秀賞に選ばれた。

 同コンテストは全日空が昨年、創立50周年を記念し、土佐電鉄と協力して始めた。今年は6月下旬から県内の高校生を対象に、「空の旅」のテーマで募集。9日にはまんが甲子園の1次競技の落選校にも応募を呼び掛けた。

 最終的に県内11校と県外5校から作品が寄せられ、審査の結果、夢の中で旅行する情景を描いた岡豊高2年の本間美加さん、山本亜理沙さん、福元亜希子さんの作品が選ばれた。

 作品は実際に路面電車にペイントされ、10月から1年間運行される予定。


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