第12回まんが甲子園・第1日
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2003年8月8日(金)
まんが甲子園1次競技 室戸など15校決勝へ
午前10時半に始まった1次競技のテーマは「スローライフ」。「意味は分かるけど、漠然としていて難しい」と、多くのチームが意表をつかれた格好。しかし、そこは本選出場の精鋭。事前に構想を練っていたところが大半で、落ち着きを取り戻してアイデアを練り直した。 ペン児にとっては全国の漫画仲間と交流を深める絶好の機会。しかし、「スパイみたいでフェアじゃない気がして」「そんな余裕ない」と作業に没頭するチームがほとんど。勝負優先の厳しい“甲子園”を味わった。 決勝進出校の発表は午後5時から。審査委員長のやなせたかしさんが15校を発表した。「やったあ」と喜び合うチームの一方で、名前を呼ばれなかった15校はがっくり。しかし敗者復活戦のテーマ「やっぱり」が示されると、選手同士で励まし合う姿があちこちで見られた。 会場は台風10号の接近で、来場者は去年の半分ほど。「家のことが心配」と昼すぎには会場を後にする人が多かった。 決勝進出校は次の通り。 札幌南高(北海道)、宮城県工業高(宮城)、栃木高(栃木)、高崎東高(群馬)、花咲徳栄高(埼玉)、高島高(東京)、東海商業高(愛知)、飯野高(三重)、山城高(京都)、大阪電気通信大高(大阪)、西条農業高(広島)、室戸高(高知)、九州産業大付属九州高(福岡)、芸術文化短大付属緑丘高(大分)、熊本学園大付属高(熊本) 【写真】アイデア勝負のまんが甲子園。決勝進出を決め、喜びに沸く選手たち(高知市の「かるぽーと」) 県勢4校に初出場の壁 過去最多の5校が本選に臨んだ県勢だが、8日の1次競技を通過したのは2度目の出場の室戸高だけ。安芸桜ケ丘、高知東工業、高知中央、土佐女子の4校は初出場の壁にはね返され、明暗を分ける結果となった。 室戸高は4年前にも決勝に進んだ経験があり、「今回も決勝進出が目標。賞にも食い込みたい」と2年の松井杏さん。しかし本番、なかなか絵が進まない。最後の5秒を告げるカウントダウンにも、全員が手をフル回転させてようやく滑り込んだ。 作業が遅れたのは、構図や遠近感などにこだわったため。「水彩タッチで目立たないかも…。自信はなかった」という声も聞かれたが、しっかりした発想や構図は評価され、メンバーは抱き合って喜びを分かち合った。 一方、土佐女子高は審査発表を終えブースに帰ると、誰からとなく反省の弁。「難しく考え過ぎ」「敗者復活ではもっとテーマを簡潔に考えよう」。高知東工業高3年の細川貴司さんも「(自分たちと)同じネタがあった」ことを敗因に挙げた。 地元開催とはいえ、ペン児にとってはあこがれの舞台。高知中央高2年の井岡美緒さんは「本選に出られたことでほっとした。それも反省の一つ」と振り返ると、安芸桜ケ丘高の部員からは「場違いのような気がした」との声も出た。 同一県から5校の出場。敗者復活に回った4校の実力も決して低くないはず。「行けるところまで行きます!」―。4校のメンバーたちは、敗者復活に向け新たな決意をみなぎらせていた。
☆「高知に来て、漫画に対するおおらかな雰囲気を感じました。明日は優勝狙って頑張ります」
☆「北海道は台風が来ないので、外の天気が気になる。だけど台風の体感なんかしたくない」
☆「この大会の敵はほかの学校ではない。見てくれる人たち。その人たちをびっくりさせる漫画を描く」
☆「まんが甲子園のこと全然知らんかった。漫画を描く人が結構多いのにはびっくり。本になったら読んでみたいな」
☆「こんなに大きな大会とは…。冷房なんかないと思っていた。高知だし汗をかくことを予想して、タオルを服よりも多く5枚も持ってきたんですよ」
6月下旬、主催者側から電話で繰り上げ出場の知らせを受けたのは顧問の石井延治教諭(53)。折しも、期末テストの真っ最中だったため、試験終了まで生徒には知らせずにおこうとした。しかし、副顧問の吉村聡教諭(22)が部活のホームページに本選出場決定を書き込んだのを2年生部員の有田ゆかりさんが発見。携帯電話のメールで仲間に大急ぎで知らせた。 3年の上原由佳里さんは職員室の前で「やったー!」と喜びを爆発。担任の先生から「うるさいぞ」と、しかられてしまったという。 その後は週3回の部活練習を毎日に切り替え、夜遅くまで居残り特訓。1次競技テーマ「スローライフ」にも戸惑いはなく、上原さん一押しの自信作だった。 決勝進出決定にメンバーはハイタッチで大騒ぎ。上原さんは「もう“繰り上げ”なんて言わせません。台風の目になります!」。 【写真】1次競技に取り組む繰り上げ出場の東海商業高の選手たち。見事に決勝進出を果たした(高知市の「かるぽーと」)
明和高校(愛知県)の漫画研究部には「10分絵」というトレーニング法がある。部員同士でテーマを出し合い、テーマに沿った絵を10分間で描き上げるというもの。部長の服部絵梨子さん(16)のアイデアだ。 漫画家を目指す服部さんは、部員の集まりの悪い活動に不満があった。そこで部長になったことし、満足に漫画が描ける部にしようと一念発起。部員全員がほかの部と掛け持ちしながらも、週2回の活動ができるまでになった。 しかし、それでも活動時間は不足。そこで考え付いたのが10分絵。思い付くものをすぐ絵にする力が必要で、部員からは「最初は難しかったけど、発想力などの特訓になった」との声も。 その成果もあって制限時間内の完成は難なくクリアしたが、残念ながら決勝進出15校の中に「明和」の名前はなし。メンバーは涙を流しながらも、「絶対に勝つ!」と敗者復活戦に気持ちを切り替えていた。 |