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日本陸連プレハブNO! 陸上先行開催に汗かけ
五月十二日、大阪のホテルで、県国体局の局長・西野秋美ら三人は、日本陸連副会長・帖佐寛章ら幹部三人と会った。
高知国体の陸上競技選手宿舎二千人分がプレハブ対応であることに対し、日本陸連が不満を漏らしていることが報道され、理解を求めに出向いたのだ。
「六億円も八億円もかかるようでは、自分が(日体協国体委員長時代に)進めてきた簡素化に逆行する。とにかくプレハブは困る」、と帖佐は難色を示し、「九月の夏季大会へ移ってもかまわない」とまで言いだした。
異例の提案だったが、本県国体は既に五競技が秋から夏へ移行し、高知市と周辺部の宿舎はほぼ満杯。夏は食中毒の恐れも強いことから、民泊対応は難しい。
「無理です。何とかプレハブでお願いします」
重苦しい雰囲気が漂う中、陸連側の役員がつぶやいた。
「会期をちょっとずらしませんか」
耳を疑った。秋のメーン競技と言われる陸上が、実質上の“分離”を自ら言いだしたのだ。
建設・撤去費をざっと六億円と見積もっていたプレハブ宿舎だったが、陸連側の注文に同局運営課宿泊担当班長の蒲原浩は不安を覚えていた。
「二階建てでは、階下の選手が落ち着けず、コンディション面に支障をきたすかもしれない」「警備は大丈夫なのか」「トイレは水洗に」
いったいいくらつぎ込めばいいのか…。
“陸上先行案”にはそれなりの調整労力はいるものの、プレハブ宿舎を推し進める苦労に比べれば、ありがたい提案ではあった。
西野は帰高すると、関係各方面への調整に動いた。そしてまとめたのは「10月18−21日案」。陸上競技が終わってから二十六日の開会式まで「中四日」。天皇皇后両陛下を迎えるための警備の準備を考えると限界だった。県国体局は五月二十四日の「よさこい高知国体実行委員会」に、具体的日程を入れず、陸上先行開催案をはかった。
だが、県国体局の安どはつかの間だった。陸連側は大阪で本紙の取材に対し、「10月21−24日案」を表明。「あくまでも秋季国体に参加しているあかしとして、間は一日しか開けられない」と突っぱねたのだ。
県案をのめぬもう一つの大きな理由があった。高知国体直前のアジア大会(韓国)だ。県案通りでいくと、十五日に帰国した選手は、十七日に高知入りしなければならない。
「休養が中一日では、とても選手の理解は得られませんよ。ハンマー投げの室伏(広治)や、百メートルの朝原(宣治)といった世界レベルの選手が出てくれるように頼んだんだ。その連中に、『しっかり高知でやってくれ』と言っても、これじゃ無理です」
帖佐は声を張り上げ、続けた。
「警備の時間が足りない? できない理由ばかり並べず、できるための調整に汗を流すのが県の仕事じゃないんですか。われわれは五十歩も百歩も譲ってるんですよ」
これ以上何を求めるのか、と言わんばかりのけんまくだった。
◇
開幕まで五百日を切った高知国体の宿泊事情は、大ピンチだ。秋季大会のピーク時には一日三万人分の宿が必要だが、悲しいことに、既存の宿の収容能力は二万八千人分。もろもろの事情を差し引くと、実質的には一万七千人程度しか泊まれない。残りの一万三千人分を民泊、その他でしのぐ計算だが…。
=敬称略
(高知国体取材班)
【写真】「高知県はできない理由ばかり並べず、実現に向け汗をかくべきだ」と訴える日本陸連の帖佐副会長(5月24日、大阪・長居陸上競技場内)
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