尾前昌さん(33) 高知市
個人(こじん)の依頼(いらい)で病院(びょういん)で医師(いし)の説明を手話で伝えたり講演者(こうえんしゃ)の横で会場向けに通訳したりするのが仕事。県聴覚障害(けんちょうかくしょうがい)者協会(きょうかい)に勤務(きんむ)して6年目です。
それまでに働いた経験(けいけん)はありません。学生の時から特に将来(しょうらい)の職業(しょくぎょう)の希望もなく、それだけに今やっていることに自分でもびっくりです。
手話との出合いは、子どもの通っていた保育園で。保護(ほご)者の中にろうの方がおられ、話をしてみたいと思ったのがきっかけです。保護者会主催(しゅさい)の手話教室が月1度あり、家でも一生懸命(いっしょうけんめい)勉強しました。
聴覚障害者らの劇団(げきだん)「いろは丸」にも参加。コミュニケーションの大切さをパントマイムで伝えていますが、「言葉(ことば)じゃなくても伝えられることはある」といつも考えています。
手話通訳者は、各市町村の手話奉仕員養成講座(ほうしいんようせいこうざ)(実施(じっし)していない自治体も)と、県の手話通訳者養成講座を修了(しゅうりょう)すると受験資格(じゅけんしかく)が得られます。
試験(しけん)内容(ないよう)は手話の読み取り、書き取りなどの実技(じつぎ)、聴覚障害者の歴史など。県内では約80人が登録(とうろく)しています。
正しく伝えることが大前提(だいぜんてい)ですが、心掛(が)けているのは、中立の立場でいること。あくまでも「通訳」なので、自分の意見や感情(かんじょう)を入れてはいけません。プライバシーにも配慮(はいりょ)しています。
「尾前さんを」と初めて指名された時はうれしかった。この仕事は聞こえる人と聞こえない人の橋渡(はしわた)し役。より信頼(しんらい)されるようになりたい。ろうの方が安心して暮(く)らせるためにも、手話通訳者が増(ふ)えたら。最初はゲーム感覚でもいい。興味(きょうみ)を持ったら、続けて勉強してください。
【写真】手話でやりとりをする尾前さん(高知市越前町2丁目の県盲ろう福祉会館)
(高知新聞 2002年03月17日朝刊)
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