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1.やっぱりあったんだ(2006年2月25日・朝刊)
昨年秋、県監査委員は精力的に店舗調査を進めていた。ある店を訪れた監査担当職員は、店主からこう言われる。 「これ…うちの領収書じゃないですよ」 領収書の様式が違うという意味だった。捜査費を支払ってもらった領収書が偽物? 事前の書類審査で県警は相当数の領収書類をマスキング(黒塗り)してきた。「おかしい、多すぎる」。そんな疑念を募らせていた監査委員が、「偽物だから隠していたのか」と思い始めた瞬間だった。 【写真説明】厳しい表情で特別監査の報告に臨む鈴木基久・県警本部長(中央奥)。手前左は奴田原訂・代表監査委員、右は鈴木朝夫・県公安委員長=22日午前、県議会 ■ ■ 書類審査が行われているさなか、ある県警幹部は取材班にこう話していた。 「会計書類は完ぺきに作られてるし、物証もない。『捜査上の秘密』を盾にしたら、特別監査は切り抜けられると幹部の多くは高をくくっちゅうね。協力者の聴取もできんやろ」 現場警察官の思いは複雑だった。 ある警察官は「(支出文書の開示に応じない)幹部はひどい。周りの捜査員は怒っちゅう。『聞き取り調査で本当のことを言うてしまおうか』と話すやつもおる」とぶちまけた。半面、片方では「おれなら絶対本当のことは話さんね。監査委員が信用できるかどうか分からんし」と言う声も。 これまでに例のない特別監査にさまざまな思いを抱く現場と、「大丈夫。切り抜けられる」と高をくくる県警幹部。県警の一体感は、そこにはなかった。 ■ ■ 県警幹部の楽観論は、実は早々に崩れていた。ある監査担当職員が、ボールペンで書かれた領収書の文字を見て気が付いた。金額の文字が、うっすらと細い線で縁取られている。「鉛筆の下書きじゃないのか」 出勤簿、時間外勤務命令簿…。捜査費を支払ったとする日付を丹念に付き合わせた。「郡部へ出張しているのに、どうやって高知市内で払っているの?」。次々と不自然な支出が浮かび上がった。 店舗調査では、県内外の951店に直接足を運んだ。5億円余りの捜査費の不正支出をはじき出した北海道警に対する特別監査でさえ、調査した店舗は114軒。しかもすべてが文書による照会で、店まで足を運んだケースはゼロだった。 「追尾で使用したタクシーの運転手が領収書発行当時は既に退職」 「金券ショップでの商品券購入では、領収書の金額に端数が出るはず。それがない」 矛盾は後から後へと出た。 そのときのことを、ある監査担当者はこう振り返る。 「やっぱり(道警のような不正が)高知県でもあったんだなと思ったね」 ■ ■ 22日の特別監査結果報告は、県警本部と高知署が12―16年度に支出した捜査費の約35%、約1800万円を「違法・不当」または「疑念あり」とした。一貫して不正を認めなかった県警の牙城(がじょう)が、この認定で崩れたことになる。県警は法の番人であり、治安の要。「黒」が突きつけられたという現実は、あまりに重い。 (捜査費問題取材班)
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