【下】監査委員に聞く
(2005年11月26日・朝刊)
疑惑解明の「本丸」、聞き取り調査。不正を完全否定する県警組織の重圧の中で、捜査員の口から真相を引き出すために監査委員側はどう臨むのか。奴田原訂・代表監査委員と、実務の責任者である嵐護・県監査委員事務局長に聞く。
――書類審査などを通した捜査費問題の心証を。
奴田原 現段階で細かくは言えない。すべて監査結果報告で示す。ただ一般論として、本県も高知地裁の(疑惑の存在を認定した文書開示訴訟の)判決があり、疑惑は相当濃いと推認せざるを得ないだろう。
――県警は「捜査上の支障」を理由に文書の全面開示を拒んできた。
嵐 全面開示が原則である監査に対し、文書を黒塗りにすること自体が公金を扱う者として理解できない。監査委員にすら隠さなければならないものとはいったい何なのか。
――具体的な不審点が浮かび上がっているか。
嵐 監査結果報告で明らかにする。今、言えることは「上手の手からも水は漏れる」ということだ。
■ □
――捜査員らにとって聞き取り調査は大きな重圧だ。本音を引き出すための配慮も必要だろう。
奴田原 捜査員に自由に発言してもらう環境をつくる。日程は「今月中に始める」としか言えない。場所も絶対に非公開だ。個人名が分かる監査報告にはしない。個々の捜査員が話した内容も県警には絶対に悟らせない。捜査員に迷惑が掛からないようにする。
嵐 県警側の付き添いや立ち会いは絶対に認めない。会計課職員らが資料を持ってきても中に入れない。監査委員が捜査員と一対一で聞く。
――不正にかかわっていても真実が言えない捜査員もいるだろう。捜査費不正は外見上は書類が整っているのが特徴だ。どう解明するのか。
奴田原 客観的な資料を基に、書類上の名義に支払ったとする十分な説明をしてもらう。それがなければ「クロ」だ。あやふやなら、協力者への裏付けも進めたい。
嵐 捜査員の思い出話を聞くつもりはない。監査は個人の行為を摘発するのではない。組織として公金が適切に使用されたかどうかの確認だ。本音を話してほしい。
――県庁も過去にカラ出張や官々接待などが厳しく批判された歴史がある。嵐事務局長は県職員としてその渦中にいた。
嵐 県は不正を総括した上で、再出発をどうすればいいのかみんなで考えた。考え方が180度変わった。まだ不十分かもしれないが、原点として公金の重みを意識している。県警は「県民の視点」に立つという原点に立ち返る必要がある。捜査費に関することで捜査員が苦悩しているなら、それを受け止め、解消したい。
――知事と県議会の両方が請求した今回の特別監査は、特段の重みがある。
奴田原 妥協や腰砕けはない。特別監査は個人を責めるのではなく、たぶんあるだろう組織のあしき慣習を直すのが基本だ。捜査員には安心して意見を言ってほしい。警察官は県民のために働いている。その使命と責任を果たしてほしい。
■ □
県警の捜査費不正が発覚して2年余り。県民が注視する中、特別監査の真相解明は核心へ迫る。
【写真説明】聞き取り調査を前に、「警察官としての使命を果たしてほしい」と話す奴田原訂・代表監査委員=右上=と嵐護・県監査委員事務局長
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