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2006年12月3日掲載
◆【2】 無関心が不正生む
弁護士 清水勉氏平成15年春。疑惑の端緒は、「捜査費執行状況等一覧表」と記された数枚の文書だった。 県警の組織的不正経理疑惑を指弾した捜査費公文書開示訴訟の高松高裁判決(9月29日)は、鉄壁を誇った警察の「捜査の秘密」に風穴をあけ、疑惑を強める決定打となった。この訴訟で原告側の代理人を務めた清水勉弁護士(53)=東京弁護士会=に情報公開制度から見た捜査費問題を語ってもらった。 【写真説明】「疑惑追及には情報公開制度の活用が大事だ」と語る清水勉弁護士(東京都新宿区の事務所) ▼告発者の勝利(高裁判決の確定で県警は今年11月、本部捜査一課など3部署の会計文書を一部開示した) 高裁判決は県警捜査費を執行日ごとに開示するよう命じた点に意義がある。県警がいつ、どれだけの額を「協力者」に渡したか分かり、原告の市民オンブズマン高知が県警の内部告発者から入手した「捜査費執行状況等一覧表」(一覧表)との比較も可能になった。 (開示文書は一覧表と金額、日付などの内容が一致。本紙の調べでは、一覧表の「協力者」はいずれも捜査費を受け取っていない) この事実でさらに捜査費問題を追及できる。訴訟の一番の勝利者は、危険な思いをしながらも警察組織を変えようとした内部告発者だ。 また、これら会計文書を開示しても県警の捜査活動に何ら支障が生じないなら、この程度の情報開示は実務に影響がないという証明になる。全国の自治体の情報公開の在り方にも影響を与える重要な判決だ。 ▼開示ルール確立を高裁判決は、県監査委員の特別監査結果が大きく影響した。警察官らの証人尋問をしなかった高裁の裁判官が、300人を超える捜査員から聞き取り調査した監査結果を否定できるはずがない。 県警が9月に公表した(平成12―16年度の県警本部と高知署の県費分の)内部調査結果は裏金を否定し、犯罪に問われない手続き上のミスばかり挙げた。これは内部「調査」というより内部「調整」だろう。 判決文は、監査委員に裏金づくりを告白した捜査員の証言ばかり引用されている。県警が内部調査結果を開示訴訟に証拠提出しても、高裁の判断が変わることはあり得なかった。 (県警は県議会12月定例会で、残る県費分と国費の内部調査結果を報告する) 報告後、県警は再び捜査費予算を増額しようとするかもしれない。それには県民への情報公開を高め、監査委員に文書を全部開示するなどのルールを確立してからでないと許されない。そうしないと、県民の関心が薄れれば、再び裏金づくりが始まる恐れがある。 ▼県民の監視必要(清水弁護士は平成11年、警視庁の捜査費文書で協力者として勝手に名前を使われた男性2人の代理人として訴訟を起こし、警視庁側に計24万円の支払いを命じさせた) この訴訟に来ていた記者は「裏金のことなら知っていますよ」という反応。記事を書いたのは提訴と判決のときだけで、全く追及しなかった。マスコミの無関心が警察の組織的不正を続けさせた面もある。 知事と県議会、監査委員の連携と、オンブズマンの粘り強い追及によって画期的判決が生まれ、疑惑が深まった。開示文書を分析すれば、執行の時期や金額にさらに不自然な点が見つかるかもしれない。 情報公開制度は不正追及の有効な手段。県民は制度を活用して目を光らせることが大切で、捜査費支出の不自然な傾向を指摘することで、大きな変革へとつながる。 しみず・つとむ 昭和28年埼玉県生まれ。東京弁護士会所属。警察問題や情報公開制度に詳しく、警視庁赤坂署や銃器対策課の不正経理訴訟で原告側代理人を担当。いずれも原告が実質勝訴した。平成17年から長野県情報公開審査会の会長を務める。
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