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監査の“標準モデル”に

【写真説明】北海道警は国費、道費合わせた損害額計9億5000万円を国、道に返還した(札幌市の道警本部)
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昨年3月、北海道警が旭川中央署の裏金づくりを認めた直後、道公安委員会は道警に「監察指示」を出した。それを受け、道警は内部調査に取り掛かる。調査対象は道監査委員の特別監査と同じ平成10―15年度の捜査費や旅費など。
11月、道警は内部調査の結果を公表し、約11億円の「不適正執行」を認めた。うち道費分の不適正額は4億1300万円。その上で道警は「警察本部や方面本部が不正執行を容認、指示したことはない」と「組織ぐるみ」を否定した。
翌12月、特別監査の結果が出た。監査委員は道警の言い分を真っ向から否定、「組織的な不正が行われていた」と断じた。道監査委員が特別監査で認定した不正額は5億900万円に達し、道警の内部調査を約1億円も上回った。 不信の構図
高橋はるみ道知事は道警が内部調査中だった昨年6月、内部調査結果の適否を道監査委員に監査させる方針を表明した。道警への不信感は明らかだった。
道監査委員が道警の内部調査結果を監査していた今年3月、信じがたい事実の判明によって知事の不信感は的中する。内部調査への監査が始まった年明け以後も、道警が隠ぺい工作を続けていた――という衝撃的な内容だった。
暴露したのは道監査委員などに寄せられた複数の内部告発だった。告発は「一部の道警幹部が複数の捜査員にうその書類へ署名押印させ、その内容を監査委員に報告させた」と明かしていた。
不正を認めて道民に謝罪したはずの道警が、その後も監査妨害を続けていたとは…。道民から激しい批判が上がった。道監査委員は内部調査の監査を白紙に戻し、捜査員からの聞き取りを再スタートさせた。
その結果、道警が「適正に執行している」とした食糧費と交際費でも不正経理を認定。道の損害額は、道警が計算した2億300万円から2億4000万円にまで拡大した。 使途には届かず
巨額の不正経理の存在は、これまで不正を見抜けなかった監査の不備も浮き彫りにした。
徳永光孝・代表監査委員は「定期監査では捜査費をほとんど監査していなかったのが実情だった。数件の会計文書を抽出し、数字が合っているかをチェックするだけだった」と認める。
昨年の特別監査でも、巨額の裏金がどこに消えたのかという点は解明できなかった。警察官の夜食や慶弔費、関係者との懇親会費などに使ったとする証言はあったが、裏付けは取れないまま。徳永氏は「幹部らの個人的利得はついに確認できなかった」と話す。
道議会では今年7月、民主党道議らが裏金問題に関する百条調査特別委員会の設置決議案を提出したが、「これ以上の解明は不可能」とする自民党や公明党の反対で否決された。不正追及の幕引きを図ろうとするムードも漂っている。
だが、道監査委員が暴いた不正経理の事実は重い。また「道警の裏金問題をこのまま終わらせてはならない」と訴える道民の声も止まっていない。警察当局に正面から向き合った道監査委員のスタンスは、警察監査の“標準モデル”をつくりあげたといえる。
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