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「正規」以外は「私的」

【写真説明】「捜査員が不正を話してくれた」と話す北海道の徳永光孝・代表監査委員(札幌市)
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北海道警に対する特別監査は16年3月から12月まで行われ、道監査委員は平成10―15年度の道費の不正総額を5億円余りと断じた。特に道費捜査費は執行額の実に63%、約4億円を不正支出と認定。捜査費経理の暗部を暴き出した功績は捜査費監査の成功例とされている。
しかし、道監査委員が警察の牙城に切り込むまでの道のりは決して平たんではなかった。特別監査の前に行った(住民請求による)監査では、歯がみするほどの苦い思いを味わっていた。 強制力ない監査
15年12月。道警の捜査費不正疑惑が発覚した旭川中央署に対し、地元弁護士が独自入手した捜査費の会計文書を基に監査請求した。
道監査委員は文書に記載された捜査員に対する聴取を求めたが、道警側は「捜査への支障」を理由に応じなかった。
監査には法的な強制力がないため、相手に拒まれればそれまで。聴取できない以上、疑惑の裏付けが取れるわけもない。結局、住民請求を棄却せざるを得なかった。
強制力が伴わないのは知事または議会が請求する特別監査も同じ。15年3月、全国に先駆けて特別監査を行った宮城県監査委員も厚い壁に阻まれていた。
浅野史郎知事の肝入りで行われた特別監査だったが、同県警は捜査員への聴取を拒否し、提出文書も全面的に黒塗り。
監査は幹部らの聞き取り程度にとどまり、監査委員は「予算執行の事実のすべてを明らかにできなかったことは誠に残念」と指摘しながら、「不当な行為を認めるには至らなかった」とするほかなかった。
15年当時、全国の警察はまだ捜査費不正を頑強に否定していた。警察庁が「監査委員などの捜査員への聴取に原則応じるように」と通達を出したのは、16年2月になってから。
道警への特別監査はその時流に乗った。 道警の抵抗
警察庁の通達を受け、道警は捜査員への聴取には応じた。が、捜査費を渡したとする「捜査協力者」への聴取はかたくなに拒否した。
監査委員に対し、道警が捜査協力者の名前や住所を開示したのはわずか3割。残りは「捜査中」などの理由で開示しなかった。しかも道警は文書のコピーやメモも認めなかった。名前を開示した協力者への聴取も「捜査上の秘密」「協力者保護」を理由に拒んだ。
こうした制約の中で、監査委員が巨額の不正を認定できたのはなぜか。
徳永光孝・代表監査委員は「捜査員がきちんと不正を話してくれたからだ」と指摘する。文書のコピーの代わりに道警に捜査員ごとの支出一覧表を作らせ、それを基に捜査員に一つ一つ事実確認していった。その中で、少なからぬ捜査員が不正の事実を話した。
徳永氏は「正規支出が確認できないものはすべて『私的流用』に当たると考えた」と話す。重要事件の解決時などに開く慰労会用に警察庁が認めていた「激励慰労費」も、「そんな使い道は道財務規則で認められていない」とはねつけた。
町議を経て町長を4期務め、公金管理の在り方を熟知した徳永氏らの厳しい監査姿勢と、現場捜査員らの告白で道警の裏金づくりは次々と暴かれていった。
しかし道警組織の不正の体質はさらに根深く、ゆがんでいた。
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