2005年7月31日掲載
「徹底的にやってやる」

【写真説明】全国で初めて捜査費不正を認め、北海道議会で陳謝する道警幹部ら(16年3月12日、北海道議会総務委員会)
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県警の捜査費不正問題は、橋本大二郎知事と県議会が県監査委員に特別監査を請求し、真相解明に向け新たな段階を迎えた。捜査費の特別監査は宮城県、北海道、愛媛県に次いで四例目。北海道監査委員は五億円を超える不正経理を暴き、大きな成果を挙げた。県監査委員は県警捜査費の牙城にどこまで切り込めるのか。近く始まる特別監査を前に、捜査費監査の先行事例を取材し、疑惑解明への展望を探る。(捜査費問題取材班)
「長い間、慣行として組織的に不正が行われていた」―。北海道監査委員は昨年十二月、平成十―十五年度の道費捜査費約四億円をはじめ、旅費や食糧費など計約五億九百万円に上る裏金・不明金を認定し、約九カ月間に及ぶ特別監査の結果を報告した。
十五年十一月に発覚した道警の捜査費不正の解明が急展開したのは、十六年二―三月の元道警幹部二人の実名告発がきっかけだった。それまで不正を否定してきた道警は同年三月十二日、旭川中央署の裏金づくりを認め、三日後、高橋はるみ道知事は特別監査請求に踏み切った。
1万2000人を聴取
高橋知事が求めた監査対象は道警本部と四つの方面本部、警察学校、さらに道内の全六十八署に及んだ。監査資料も膨大な量に上った。
道監査委員は道議会議員二人を含む四人。事務局職員三十四人態勢では足りず、知事部局から最大三十五人の応援を得て特別監査に臨んだ。
「疑念を持つ道民の世論は厳しい。生半可な監査は許されなかった」と徳永光孝・道代表監査委員(66)。疑惑解明を求める世論の高まりを背に、監査委員らは予算執行に関与したOBを含むすべての道警幹部、捜査員ら延べ約一万二千人への個別聞き取りを断行した。
個別聴取に会計課職員の立ち会いを求めてきた道警の申し出も、「必要ない」と突っぱねた。各署の道場などについたてで個室スペースを作り、監査委員四人と事務局スタッフが捜査員らと一対一で向き合った。
最初、ほとんどの幹部は「不正はない」と否定した。一方で、捜査員らは「それはうその書類です」と次々と認めていった。
徳永代表監査委員は面接した捜査員らに切々と語り掛けた。「これを機会に警察を改革しよう。そのために互いに頑張ろう。あなたたちの苦労も意見として付ける。何でも話してほしい」
「上司に書類偽造を指示された」「裏金は署長が持っていった」―。幹部主導で続けられた裏金づくりの手口を次々と明らかにする捜査員たち。現場から噴き出る内部告発が、不正を否定する幹部らを追い詰め、重い口を開かせていった。
奮い立つ監査委
道監査委員を奮い立たせた理由はほかにもあった。
昨年二月の衆院予算委員会。住民請求で行われた旭川中央署への監査に際し、捜査員への聴取を拒んだ道警の姿勢を、道選出の鉢呂吉雄氏(民主)が「会計検査院には聞き取りさせているではないか」とただした。
警察庁の吉村博人官房長(当時)は「会計検査院は専門職。詳しくは承知していないが、監査委員は地縁、血縁のつながりもあると思うし、検査院と差が出るのはやむを得ない」と答えた。
監査委員軽視とも取れる発言に、徳永代表監査委員は「徹底的にやってやる」と思った。
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