言葉の重さどこまで自覚
本部長発言を考える 社会部・大山哲也
県警の捜査費執行を調べた橋本大二郎知事に対し、鈴木基久本部長が発した「知事(の立場)は危うくなる」発言は、強大な強制力と権限を持つ捜査機関のトップとして、決して言うべきせりふではない。
本部長は圧力の意図を否定している。知事自身も圧力を感じたとは必ずしも明言していない。しかし、知事の「自分は別に誰が何を言おうと圧力とは感じない」という言い回しは、本部長の発言に圧力的な意味合いが含まれていたことを暗に示している。
本部長は「捜査のプロである警察の(内部)調査と、県職員の調査のどちらが信用できるのか」と県の調査結果に強い疑問を示した。しかし、身内の調べにどこまで信用性があるのか。県警による身内の調査に信が置けなかったからこそ、知事自身が県の独自調査を決断しなければならなかったのではないか。内容が乏しかったにしろ、県の調査を「プロではないから」とおとしめる論理には何の説得力もない。
捜査費疑惑をめぐる警察組織の発言では、宮城県の浅野史郎・前知事が十七年に宮城県警の捜査費執行を停止した際、警察庁の漆間巌長官が「警察活動への介入で言語道断だ」と発言し、批判を浴びたことがある。
今回の本部長発言は、それに近い重大な問題をはらんでいる。県のトップに対し、警察権力を束ねる本部長が圧力めいた言葉を掛ける。しかもその中身は警察自身の疑惑であり、疑惑に対する調査結果の公表に関する発言でもある。
県庁内になぜ、猛烈な拒否反応が巻き起こっているのか、当の本人は認識できていないのではないか。県知事が名指しで発言内容を指摘し、それが波紋を広げたにもかかわらず、本部長は自ら県民に説明しようとする姿勢を見せなかった。
県警は特別監査でも今回の調査でも、協力者に関する情報は一切開示しなかった。さらに今回は県側が捜査員名を書き取ることを禁じ、内部調査の資料は廃棄したとまで説明した。これでは調査拒否に等しい。
これまでの疑惑、そしてそれに対する県警の組織対応の延長線上にあるのが今回の発言だった。
(2007年6月19日・朝刊)
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