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いやしくも (夕刊「話題」)
(2006年3月2日・夕刊)
「いやしくも監査報告書で『不当』などと指摘するなら、明白な根拠があると思う。その根拠を特定するよう求めるのは当然だ」。捜査費の特別監査報告を受けて、県警の鈴木本部長はこうコメントした。
「いやしくも」という言葉が引っ掛かった。
広辞苑を広げると「(1)身分不相応にも(2)かりそめにも。かりにも(3)まことに(4)もしも。万一」などと記されている。本部長の言い回しは(2)の用例と思いたいが、(1)のニュアンスがまったくないと言えるだろうか。
不正と言うなら根拠を示してみろ、と本部長は監査委員側に迫っている。この要求は、勇気を持って不正を告発した現場の捜査員の特定につながる。だから監査委員は相手にしなかったが、根拠を示せない理由を逆手に取った県警側の物言いは、自らが捜査機関であることを忘れているようだ。
県警は本部長をトップに内部調査班を設置したが、監査委員の指摘は間違いだと言わんばかりの姿勢を見ると心もとない。「県警は潔白」という結果を出すかもしれない。県民の批判が強かろうが「分不相応な」と無視するかもしれない。信頼回復がはるか遠のく最悪のシナリオすら頭をよぎる。
内部調査の結果は、指揮する本部長の決意に懸かっている。「不正を告白した捜査員に絶対に不利益を与えない」「調査班の人間が聴取内容を漏らしたら厳罰」。最低でもこれぐらいの気概を示さないと、現場の捜査員は幹部を信用しない。残念だが、それが今の県警の姿だ。
監査委員に「内容を教えろ」などと情けないことを言っている場合ではない。いやしくも県警は、幾多の難事件を解決してきた捜査機関のはずである。(竹内 誠)
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