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高知県警捜査費問題

捜査費訴訟 県警に文書の一部開示命令 高知地裁

(2005年5月27日・夕刊)

 県警の捜査費関連の公文書の非開示処分をめぐり、市民オンブズマン高知のメンバーが県警本部長を相手に処分の取り消しを求めた訴訟の判決が27日、高知地裁で言い渡された。新谷晋司裁判長は「不正経理の疑いは相当強い」と県警本部捜査一課の不正経理疑惑の存在を強く示唆し、「非開示による利益より、開示する公益性が優越する」と判断。捜査協力者名などを除き、同課の個別支出の執行額や捜査員の肩書きなどの開示を命じた。捜査費文書の情報公開訴訟で、裁判所が捜査費不正の可能性を指摘し、「公益」を理由に文書開示を命じたのは全国で初めて。

 県警は疑惑を自ら調査し、県民に明らかにする責務を負ったといえる。各地で発覚している警察の不正経理問題に与える影響も大きく、またオンブズマン側が当時の捜査一課幹部らについて刑事告発した高知地検の捜査にも影響を与えそうだ。

 新谷裁判長は、オンブズマン側が「内部文書」として証拠提出した14年4月―10月の捜査一課の国費捜査費の執行状況がまとめられた「捜査費執行状況等一覧表」について判断。

 「形式的証拠能力は認められないが、『捜査員名』など事実に合致する記載が含まれている以上、捜査一課の執行状況に合致している疑いを必ずしも払拭(ふっしょく)できない」と、内部文書の可能性が強いとした。

 その上で、一覧表に記載された「協力者」が捜査費を受け取っていないとした本紙報道などを考慮し、「(内部文書に合致しているとすれば)記載内容の14年4―10月の捜査費の執行は虚偽で、組織的不正経理が強く推認されることになる」とした。

 さらに、14年当時の捜査一課総括補佐や一覧表に記載された警察官の証人尋問内容などから、不正を指摘した本紙報道以降の県警の対応に疑問を呈し、「疑惑解明のため、捜査員らへの聞き取りなど内部調査をしておらず、不自然だ」と指摘。「組織的不正経理疑惑は払拭できていない」と認定した。

 同課の月別捜査費の国費、県費の受け入れ額や執行額などに加え、「支出伺」や「支払精算書」で捜査費を執行した捜査員の官職や執行額、返納額などの開示を命令。捜査協力者名や個別事件名は非開示とした。

 捜査二課と暴力団対策課の支出文書は「捜査一課の疑惑とは異なり、抽象的なものにとどまる」として開示の訴えを退けた。

 オンブズマン側は15年7月、県警の14年度捜査費関連文書の開示を請求したが、県警側は月別支出の金額をほとんど黒塗りとし、個別支出文書の枚数も開示しなかった。

 

疑惑解明こそ公益 求められる説明責任

 県警の捜査費文書の非開示処分取り消し訴訟で、高知地裁は27日、県警本部捜査一課の捜査費執行について「不正経理の疑惑は相当強い」と指摘した上で、「県民の知る権利」に基づく疑惑の解明にこそ公益性があることを明快に示した。疑惑の外堀は完全に埋められた格好で、これまでまともな対応を取ってこなかった県警に不正疑惑に対する説明責任が強く求められる。

 判断のポイントは、オンブズマン側が「県警の内部資料」として証拠提出していた「捜査費執行状況等一覧表」。本紙はこの一覧表を別ルートで入手し、これを基に15年7月以降、捜査費不正について報じてきた。

 同地裁は一覧表の記載内容の具体性などから、「捜査一課の執行状況に合致しているとの疑いを払しょくできない」と内部文書である可能性を強く示唆。「(仮に内部文書とすれば)そのまま捜査一課の組織的不正経理が強く推認される」と判断した。

 判決はさらに、警察関係者の証言を基にした本紙報道以降の県警の姿勢に強い疑問を投げ掛けた。「(県警が本紙報道に対し)全く調査をしておらず、対応は不自然だ」「県議会での説明は抽象的な内容に終始した」とし、「説明責任を果たしたとは言い難い」と厳しく批判した。その上で、「公文書開示による情報提供の充実を図ることにより、県民の県政に対する理解と信頼を深める」とする県情報公開条例の趣旨を踏まえ、「捜査一課の組織的不正経理の疑惑は相当に具体的であり、これを解明することに相当に高度の公益性があるというべきだ」との結論を導き出した。

 「公益」を理由に文書の開示を求めた判決はこれが全国初となる。司法により「何が公益か」を突き付けられた県警は、不正疑惑を自ら調査し、県民に説明する義務を負ったことになる。判決はまた、予算執行をチェックする立場の県議会や県監査委員、会計検査院などの調査の在り方にも強い影響を与えよう。

 この訴訟はあくまで文書非開示の是非だが、県民が疑惑解明に向かう大きな一歩となった。(社会部・大山哲也)


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