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高知県警捜査費問題

手段と本質 

(夕刊「話題」)
(2005年5月24日・夕刊)
 昭和46年、沖縄返還に伴い米国が支払うはずの補償費400万ドルを、日本が肩代わりすると密約した日米間の文書が存することが、全国紙の新聞記者によって暴かれた。

 主権にかかわる問題として国会でも追及されたが、肝心の密約内容よりも、記者が外務省の女性職員と「情を通じ」文書を入手したのでは、という手段が問題視されるようになる。記者は起訴され、有罪が確定した。

 密約の存在は米側の公文書で明らかだが、政府は今も否定し続けている。いつの時代も、権力側が不正を認めたくないときは、記者の「手段」や「目的」を攻めるという好例だろう。

 「あれは、うちの特定幹部に恨みを持つ記者が仕返しのために書いた」―。本紙が捜査費問題を取り上げてから、県警の幹部からこんな言葉をもう何度となく聞かされている。

 要するに、個人的な恨みで紙面を私物化した、とでも言いたいらしい。問題の本質を矮小(わいしょう)化させると同時に、他メディアが報道しないよう、けん制する狙いが込められているようだ。

 もちろん、捜査費報道はそんな姑息(こそく)な目的で始めたものではない。犯罪を取り締まる警察が「捜査の秘密」を盾に、元は税金である捜査費を恣意(しい)的に流用したのは問題だから報じた。

 外務省機密漏えい事件について、今の時代から軽々に判断するのは避けたい。しかし権力側の記者への攻撃で、当時のメディアの密約追及が結果的に消化不良で終わったのも、紛れもない事実として今に残る。

 県警の捜査費公文書の非開示処分の取り消しを求めた訴訟の判決が27日、高知地裁で言い渡される。県警の聖域が崩れるかどうか、注目の司法判断を前に類似点が浮かんだ。(大山哲也)


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