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「捜査費問題を聞く」(下) 同志社大教授(新聞学) 浅野健一氏 記者クラブ解体せよ ネット活用で追及を(2004年12月20日・朝刊)
【写真説明】「全国的なネットワークをつくり、捜査費問題をもっと社会問題化すべきだ」と話す浅野健一・同志社大教授(京都市上京区の同志社大) 警察と新聞社の長い間の癒着の構図だと思う。警察の不正をきちんと取材する人がいなかった。取材しようとしなかった。新聞社は事件事故のスクープ競争をする。新聞社も「スクープを取れる記者が優秀だ」と思っている。警察を批判的に見るという視点がそもそもなかった。 いろいろな社会問題を提起するのは、法律的には警察、それをチェックするのがジャーナリズムだが、その2つが癒着している。警察とメディアがどうしようもなくレベルが低い。 ――警察を取材しているサツ回り記者の取材姿勢に問題があると。 高知新聞や北海道新聞は、遊軍の別部隊ではなく、サツ回り記者が捜査費問題を報道していることに意味がある。警察もここまでやるとは思っていなかっただろう。これは単なる特ダネではない。 警察庁レベルで東京の全国紙がどこまで迫れるかが問われている。地方の新聞がここまでやっているのに、東京のサツ回り記者がやらないというのは、三菱自動車の(リコール隠し)問題と同じで、不作為の作為だ。あってはならない。「新聞社の社会部は解散しろ」と言いたい。 ――警察記者クラブの在り方に、マスコミが警察の不正を書けない理由があるとの指摘がある。 警察取材は「捕まえた側」だけが発表して、「捕まった側」が悪いという前提に立って取材をして記事を書く。新聞記者の原点を見失うだけだ。しかも新聞社がクラブで記者教育をしているからだめだ。お上の宣伝媒体に成り下がっている。権力から独立したジャーナリズムを確立すべきだ。権力のペットになっている構造を変えないといけない。警察記者クラブを解体すればいい。新聞社が最もだめな取材方法を記者に学ばせている。 ――新聞社が記者教育を見直すべきだと。 Jリーグや野球から取材を始めさせればいい。写真の撮り方、速報性、記事の書き方、人への取材と勉強になるはずだ。 北海道新聞が成功したのは、記者にしがらみがあっても、信念を持って取り組んだから。きっと現場で苦労している警察官は「道新よくやった」と思っているはずだ。だからここまでやれた。 ――捜査費の不正は、かかわった警察官全員が共犯だ。現場のまじめな警察官は不正への加担を余儀なくされている。マスコミはそうした警察官の苦悩の声を吸い上げなければならないが。 恩恵を受けているのはごく一部のエリート。みんなが悪いことをしていて、恩恵を受けるのはごく一部の人間だ。問題は警察の不正を調べる“警察”がないこと。行政が機能しない場合、マスコミしかないのだが、同様に記者がきちんと仕事をしているかもチェックされない。そういう意味で警察とマスコミは似ている。検察庁がもっとしっかりすべきだが、新聞記者が警察とけんかできない以上に、検察は警察とけんかできない。 ――捜査費問題追及の展望を。 学者や弁護士を入れた横のネットワークをつくり、この問題をもっと社会問題化すべきだ。その手段はインターネットだと思う。たとえ捜査費問題を全国紙が追及しなくても、ネットを開けばどっかに出ている。そういう状況を望んでいる。ネット新聞を活用する手もある。警察報道の変化、警察の民主化に大いに期待している。 ……………………………………… あさの・けんいち 昭和23年香川県生まれ。47年、共同通信社入社。社会部、ジャカルタ支局長などを経て平成6年退社。同年から同志社大文学部社会学科教授、同大大学院文学研究科新聞学専攻博士課程教授。
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