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第1回地方紙フォーラムin高知 「地域を元気にするために地方紙に何ができるか」(2004年10月15日・朝刊)
高知新聞など全国の有力地方紙12社で構成する「日本地方紙ネットワーク」による「第1回地方紙フォーラムin高知」が9月25日、高知市本町3丁目の高新文化ホールで開かれた。テーマは「地域を元気にするために地方紙に何ができるか」。第一線で活躍する各社の記者が、それぞれの取り組みについて事例報告。それを踏まえた分科会は花田達朗・東大情報学環長、藤田博司・上智大文学部新聞学科教授、林香里・東大情報学環助教授を助言者に、「地域をおこす」「読者とのキャッチボール(双方向性)」の2テーマで論議を深めた。地域に根差す報道機関としてのスタンスや読者との向き合い方、地方紙同士の情報交換の必要性…。論議の過程で直面する課題や悩み、今後進むべき方向性などが浮かび上がった。◆ネットワーク加盟12社◆ 河北新報社(宮城県) 新潟日報社(新潟県) 信濃毎日新聞社(長野県) 静岡新聞社(静岡県) 北國新聞社(石川県) 京都新聞社(京都府) 神戸新聞社(兵庫県) 山陽新聞社(岡山県) 中国新聞社(広島県) 高知新聞社(高知県) 熊本日日新聞社(熊本県) 南日本新聞社(鹿児島県)
真の地域主権を(あいさつ要旨)
ジャーナリズムを取り巻く環境は年ごとに厳しさを増している。要因はさまざまだが、先に全国紙記者が取材テープを第三者に横流しした事件には驚いた。ジャーナリズムの大本が分かっていない記者がいるという事実はまさに衝撃で、私たちも胸に手を当てて考えるべきかもしれない。
また、地方分権が叫ばれて久しいが、今ほど地方と中央が正面から対峙(たいじ)した時もない。小泉構造改革の本質の市場経済万能主義の下で農林漁業はずたずたにされ、財政再建の名の下に市町村合併を強いられるなど、地方は明日の姿を描き切れていない。
東京の一極集中の価値観で地方を判断してもらっては困る。中央集権型国家の地方分権から、真の地方分権型国家の地域主権に向けて、私たちも声を上げる必要がある。
テーマは「地域を元気にするために地方紙に何ができるか」。もとよりネットワーク加盟各社は地域に根差し、地域の喜怒哀楽とともにある紙面づくりに自負を持っている。その編集方針にさらに磨きを掛けるためにもしっかり学び合いたい。
両地域のシンクタンク研究員や行政関係者らを集め研究会、現地調査などを随時、紙面化。「ツインシティー」の実現に向けて、公開フォーラムも開いた。2年間の研究成果を最終報告にまとめたのに続き、03年11月からは「仙山カレッジ」を宮城、山形両県で交互開催している。
91年に山形自動車道と東北自動車道が結ばれ、仙山圏は一時間圏に。高速バスが1日70往復以上も運行されている現状は、「一体的な生活圏」といえる。一方で、異なる歴史・文化や気候・風土にはぐくまれた両市の特性は好対照をなしており、個性の「磨き合い」こそが連携に広がりと厚みを持たせるだろう。地域を元気にするには地域としての独自性にこだわると同時に、隣人との付き合いが欠かせないと考える。
企画の発端には「こんな世の中ではあるが」という思いがあった。
朝刊を開く。殺人、虐待、不正表示…悲しいニュース、うその横行に人間の暗部を見る。
家族や地域が解体しそうな時代だからこそ「再生」への願いを込め、人と人の結び合いに注目した。温かく、時に涙を誘われる人間ドラマを発掘し、せめて週1回、読者に届けたいと考えている。
「絆」の前身、「あした天気に」は副題を「人つなぐ心つむぐ」とした。二つのシリーズを通して、これまで100人余りが登場した。夫との思い出の家を今夏の水害後も守ろうと決意した女性。サッカーアルビレックス新潟のJ1昇格を裏方で支えた男性―。「隣にいそうな人が頑張っていることを知って、自分も頑張れる」と感想を寄せてくれた人がいた。新聞記事にも人と人をつなぎ、心を伝える役割があると感じている。
長野県内では、量産工場の海外移転やIT(情報技術)バブル崩壊の影響で、01年から02年にかけて、製造業を中心に赤字決算や人員削減が続出した。ただ、その中でも、独自技術や経営手法で好調な企業、旧来の慣習を打ち破って上向く企業はあった。
民事再生法の適用申請後も仕事を着実に仕上げ信頼を得て、それを足掛かりに再建を図る建設業者。「遅刻しない」「職場はきれいに」といった生産性向上の基本を意識改革で徹底、老舗メーカー立て直しに取り組む経営者。大学などと連携し新分野に挑戦する企業。
どのルポ現場にも、仕事とひたむきに向き合う人がいた。読者の「仕事の原点を思い起こした」との一言に励まされた。
期間中、対象地域内に「移動編集局基地」を構え、記者を集中配置し、そのエリアを徹底取材する。連日、朝刊に3―4ページでカラーの特集面を展開するほか、朝夕刊の1面や社会面、地方版も活用して、その地域の魅力を全県下に発信する。紙面展開のほかにも、会場型の企画を組み合わせ、兄弟会社の静岡放送と一体化した取り組みで地域のイベントとの相乗効果を図っている。
地域の課題、問題を提起するだけでなく、活性化に向けた前向きな試み、新しい息吹を小まめに拾い集めることで、地域が元気を取り戻す後押し役になりたいと考えている。行政のみならず、NPOや各種団体とも早い段階から協力し合い、事業をともに創(つく)り上げていくという姿勢を大切にしている。
白山が信仰対象となった理由の一つは水の恵みである。石川の手取川、福井の九頭竜川、富山の庄川、岐阜の長良川の源流であり、農業に不可欠な水をもたらす。石川では今も白山に手を合わせるお年寄りが多い。
白山信仰は各地に広がり、北海道から九州まで約3000の白山神社が存在する。西日本最高峰で「1府12県から見える」と言われる眺望範囲が拡大の一因である。
ふるさとの自然を深く理解するには、環境保全の視点だけでなく、自然が生み出した信仰や文化を知ることが欠かせない。白山に合掌するような自然に対する謙虚な心を持てば、環境保全意識を育むことにもなる。
石川では現在、行政が白山信仰の歴史を踏まえながら眺望保全に取り組むなど、白山の文化的価値に再び光が当たってきている。
連載は、観光客と業界、地域の3方向から、個人客中心に多様化する観光スタイルや京都らしさを生かした集客戦略を追った。名勝地・嵐山は地域主導で温泉開発による魅力アップを図り、町家ブームや体験観光は都心部の街並み保全や伝統産業の活性化につながりつつある。経済効果にとどまらず、まちづくりの視点からも観光の新たな可能性を見いだせた。
今後、最も活気づく紅葉シーズンにかけて5部まで続ける予定で、地域活性化の処方せんを探り、継続的に検証することこそ地方紙の役割ではないか。政府も国際集客に向けたビジットジャパン戦略を掲げているが、京都から全国の先駆けが示せればと思う。
地震の日、彼女は家を焼け出され、停電したまま夜を迎えた。「誰も助けに来てくれへんのは、なんでや」。不安で仕方なかったという。そこに夕刊が届いた。1面には、倒壊した高速道路でバスが宙ぶらりんになった写真。だから救援がないのだ、と彼女は納得したという。情報が人を安心させると知った。新聞もライフラインだった。
水道や道路の復旧状況、入浴できる場所―。身近な生活情報こそ重要だった。短い募集記事の大切さも実感した。記事を見て避難所でボランティアを始め、それをきっかけにヘルパーの資格を取り、今も福祉の現場で働く人がいる。新聞は人を結ぶことができる。
地震直後、避難者にラーメンをふるまった屋台のおじさんがいた。彼の言葉を胸に刻みたい。「わしら、ずっとここに住むんやから、ええかげんなことはできへん」
魚をはぐくむ藻場、干潟は次第に消滅し、名だたる浜は生物相が乏しい人工海浜に一変した。災害などの原因究明もしないまま堤防、消波ブロック、突堤、離岸堤と公共工事が重ねられていた。
産業構造変化で臨海部に遊休地が増えているのに、埋め立ては止まらない。新たに生まれた土地の使い道はなく、自治体の赤字が膨らむ。需要の見込めない大型港が次々でき、利用者がいなくなった漁港の建設も続く。
驚く現実は、われわれの無知、無関心によってもたらされた結果でもある。多角的に海にスポットを当ててきた今回の企画が、遠くなっていた海と人々の距離を近づけることに役立ったのなら、地方紙として幸いだ。
まちづくりはとかく、行政や大手デベロッパーに任せがちになる。行き詰まれば、住民は行政批判だけに終始しがちだ。新聞は、「客観報道」と称して、安全地帯から訳知り顔で文句をつけて事足れりとしていた感はぬぐえない。
新聞が「市民」と書くとき、ひとごとのような意識はないだろうか。私も税金を納める市民の一人である。「行政頼みをやめよう」と読者に呼びかけ、「あなたは、まちのために何をしますか」と問いかけるとする。じゃあ、私は何ができる?
意識や視点は、常に気を配ったつもりではある。「私も含めた読者」の意味で「私たち」と書いたり、「提言」では傍観者のようで「宣言」と表現したりもした。果たして読者に伝わったかはかなり怪しい。手法、素材に決定打は見つからない。試行錯誤が続く。
しかしその結果、自分が警察に逆らえなくなってしまっていた。他社より1日、あるいは半日早いだけの特ダネを警察からもらって満足していた。読者のために仕事をしているはずの自分が情けなくなった。だからこそ県警の捜査費問題は書くことにした。
当然、県警からの風当たりは強いし、以前のように警察官とは付き合えなくなった。しかし、権力の不正を知っていて新聞記者が書かないという行為は「不正に加担した」と同じくらい重罪だ。また、記者が取材で得た情報は記者自身のものではなく、読者のものだ。そこを勘違いしてはいけない。
全国の地方紙の警察担当の記者なら、捜査費の不正を知らない人は誰もいないと思う。地道に取材をすれば、不正は必ず掘り起こせる。力はあるはずだ。
熊本の将来を考える議論は盛んでも、提案がないというのが7月、「熊日フォーラム『熊本への提言』30人委員会」を設置した理由だった。今後2年間にわたって熊本発の提言を続けていく。
委員会は行政、経済界、大学など県内外の識者で構成。2カ月に1回、メンバー5、6人とゲストに招いた各テーマの専門家を交え話し合う。
これまで2回のテーマは(1)九州の発展と熊本戦略(2)地方分権と平成の大合併。それぞれ「熊本が道州制リード役に」「アジアのものづくり先進地に」「地方交付税の制度は堅持」「自立へ県の役割を高めよ」など大胆かつ本音の提言が出た。
話し合いの内容は紙面とインターネットで詳報。その後、ネットの掲示板を使って意見を募り、寄せられた主な意見は再び紙面に掲載する。
議論のきっかけとするための記事を掲載し、意見を募る手法は読者と紙面を結ぶ新しい試みとして昨年4月から始めた。
掲示板の管理人(記者)も議論の進行役として参加する。県外、海外からも書き込みがあり、ネットの特徴が生きた。
鹿児島のような地方は、極論すると、働く場は建設関連業と役所しかない。ところが、公共工事削減と市町村合併でともに先行きは暗く、産業構造の転換が大きな課題だ。
この観点で始めたキャンペーンで、全国的にブームになっている焼酎を軸に農業などいろいろな波及効果のある産業を取り上げ、「儲ける産業育成をしよう」と始めた企画だ。1部は「急伸する県外市場」、2部は「ブームと不作に悩まされる農業」などいろいろな角度から掲載。現在、6部「流通の光と影」について連載中だ。
この企画は「ブームをきっかけに農業を食える産業にしたい」という願いもあり、なるべく農業に重心を置いている。このため、原料のさつまいもの原産地表示問題などにも積極的に取り組み、「差別化を図るためには県内産の芋にこだわるべきでないか」といった県民が問題意識を生むきっかけになるなど広がりが出つつある。
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