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高知県警捜査費問題

不条理(夕刊「話題」) 

(夕刊「話題」)
(2004年9月28日・夕刊)
 県政や国政に、1億円単位の金を記憶にとどめない政治家がいる。市民感覚では考えられない不思議な話だ。こうした不条理は、何も政治の世界だけではない。階級社会の警察では、そこら辺に転がっていることだ。

 日夜を問わずきつい仕事を課せられる現場。知人の警察官はこう言った。「現状から抜け出すには(昇任)試験に受かるしかない」。続けて「幹部になれば夜も楽になる。飲みにも行けるし」。現場主義であるべき警察で何かおかしい。そして昇任試験の結果、合格者にはずらり本部の人間が名を連ねる。「さすが本部には優秀な人材が多い」とご満悦の幹部。できる警察官こそ一線署に配置するのが本筋で、これもどこか不条理。

 そして捜査費問題。幹部の指示でせっせと偽造書類を作ってきた現場、そこから生まれた裏金を使ってきた幹部。警察では捜査費こそ究極の不条理。ついに「我慢ならん」と全国各地で問題を指摘する声が出始めた。当然だろう。

 県警の現職、OBの捜査員ら3人が、捜査費文書開示訴訟で、証人採用されることが決まった。3人は今回の民事裁判とは別に、刑事事件でも(捜査費をだまし取ったとして)詐欺罪などで告発されている。仮に法廷で「不正はあった」と真実を言えば「詐欺か」となり、組織からは「裏切り者」呼ばわりされるだろう。逆に「捜査費は適正に執行した」とうそを言えば、「偽証罪か」となる。

 捜査費の不正は、何も彼らが考え出したことではない。はるか昔からの慣例に従い事務作業をしたにすぎない。歴代幹部は何も言わず押し黙り、3人だけが踏み絵の前に立つ。彼らのジレンマを考えると、これ以上の不条理はない。(竹内誠)


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