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ダブった映像 (夕刊「話題」)
(2004年2月28日・夕刊)
木曜日の夜は真っすぐ帰宅する。必ず見るドラマがあるからだ。大学病院の権力闘争を描いた話題作「白い巨塔」。出世街道を突き進む教授が医療ミスで訴えられる。病院側はカルテを改ざんし、口裏を合わせる。一方、真実を話すべく証人となり、大学側に不利な証言をした助教授は大学病院を追放される。原作を読んでいるのに、展開から目が離せないでいる。
印象に残ったシーンがあった。後に大学を追われる助教授は出廷するかどうか迷い、法廷に遅刻した。理由は「大学病院の医師の証言は、あまりにも影響が大きいから」。それでも「真実を明らかにすることが医学の発展になる」と証言を決断する。患者の死を受け止め、ミスの原因を明らかにすることで、同じ過ちを繰り返さないよう願った医師の良心だった。
このシーンとダブって見えた映像があった。北海道警の報償費(捜査費)不正疑惑で、元釧路方面本部長の原田宏二さん(66)が報償費の不正を認めた記者会見だ。原田さんの階級は警視長。高知県警本部長と同格の大幹部。それだけに衝撃は大きく、道警幹部が「悪夢だ」と漏らしたほどだった。
原田さんは証言の動機について、「道警が更生できる最後のチャンス」と話し、「在職中に保身と甘えと自らの力量不足から、改善に積極的に取り組まなかった」と悔やむ心情を吐露した。出身組織「警察」という巨塔を向こうに回して良心を見せた元幹部の姿は、ドラマの俳優の演技をも超えていた。
同じ捜査費問題を抱える県警の現職、OBは原田さんの決断をどう受け止めただろう。仮にも「組織の裏切り者」と冷笑するだけなら、県警はいつまでも古い巨塔のままだろう。(竹内誠)
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