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高知県警捜査費問題

“聖域”が不正の温床 全国で閉鎖体質問う動き

(2003年7月28日・朝刊)

「捜査上の秘密」を大義名分とする警察組織。情報公開という光を当てることが不正一掃の鍵になる(高知市丸ノ内2丁目の県警本部)  県警の捜査費虚偽請求問題が波紋を広げているが、全国でも「捜査上の秘密」を大義名分にして情報公開に消極的な警察組織の閉鎖体質を問う動きが相次いでいる。宮城や島根、鳥取などでは住民訴訟として問題提起。情報公開を求める関係者からは「情報公開の“聖域”が不正を生み、不正が聖域をつくる。行政情報の公開が進む中で、警察は残された聖域の一つだ」との指摘が出ている。

 【写真説明】「捜査上の秘密」を大義名分とする警察組織。情報公開という光を当てることが不正一掃の鍵になる(高知市丸ノ内2丁目の県警本部)

 まず注目されるのは宮城県。同県警に対し、市民オンブズマンと浅野史郎知事がそれぞれの立場から情報公開を迫っている。

 仙台地裁は今年1月、仙台市民オンブズマンが同県警の「犯罪捜査協力報償費」の公文書公開を求めた訴訟の判決で一部公開を県に命じた。浅野知事はこの訴訟では被告の立場だが、同県警の報償費の執行が適切でない疑いがあるとして、自身が3月に県監査委員に監査請求した。

 そのきっかけは、現場の捜査員たちに直接会って事情を聴こうとした浅野知事の要望を、県警が「士気にかかわる」などの理由で拒否したこと。「(拒否するのは)本当は第一線の捜査員に金が渡っていないからではないか」。浅野知事は不信感を募らせ、あえて挑発する言葉を講演など公の場で繰り返している。

 「あなた方(県警幹部)はうそを言っている」「捜査上の秘密というロープを張ると、中で何が行われているか分からない」「聖域は腐敗に通じる道だ」

 ▼食糧費は公開

 警察の情報公開をめぐる住民訴訟は、これまで福岡、鳥取、島根、三重などでも起こされ、判決の流れは公開度を高める方向へ向かっている。タブーだった「捜査上の秘密」という大義名分は、徐々に崩れつつある。3月には、東京高裁で警視庁銃器対策課が領収書などを偽造していたと認定する判決も出ている。

 もともと行政機関の情報公開は、住民の開示請求運動に突き上げられる形で始まった。

 昭和50年代から情報公開条例を制定する自治体が出始め、平成13年には情報公開法が施行された。その過程で、流れが加速したのは全国で活発になる市民オンブズマン活動を背景に、官官接待やカラ出張、裏金問題が次々明るみに出た6年ごろからだった。

 本県をはじめとする各自治体は当時、官官接待に使った食糧費について「地方の実情を国に伝えるため、中央官僚の接待は必要だ」「酒宴の公文書を公開すると官僚との信義を失う」として聖域化。開示された公文書は黒塗りだらけだった。

 しかし、やがてお手盛りの接待の実態や裏金づくりが露見。各自治体は接待相手の氏名や肩書を公開するようになり、少なくとも表面上は、官官接待自体がなくなっていく。

 ▼相関関係

 透明度の高まった知事部局でカラ請求や官官接待が消えていった一方、警察組織には「捜査上の秘密」という聖域が残った。そこにはびこる不正と行政情報の透明度は、常に相関関係にある。透明度が上がれば、不正を行う余地も少なくなるはずだ。

 市民オンブズマン高知は7年に発足して以来、県警への情報公開請求や公開質問などを重ねてきた。今年7月には、県警の食糧費の情報公開を求めた訴訟で、請求書などに押された警部補以下の印影などを公開するよう命じる判決が高知地裁で出されたばかりだ。

 捜査費虚偽請求問題で同オンブズマンは24日、県警本部捜査一課長らを虚偽公文書作成、詐欺罪などで高知地検に告発。「県警に対する情報公開請求では、いつも『捜査の妨げになるから』と言われ、それが大きな障壁になった。本当にそうなのか。かこつけているだけではないか。今回の虚偽請求問題でさらに疑いが強くなった」と話している。


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