ジャカルタで私たちが住んでいるアパートは、2LDKで百四十三平方メートル。学生たちが五、六人来てもリビングに余裕があります。日本の家に比べると天井が高くて、気持ちがいいです。
私たち外国人が住むアパートは豪華で、ロビーや内部設備はまるで一流ホテルのような雰囲気。メードや運転手を雇い、一軒家ではさらに門番を、子供がいるとベビーシッターを、と何人もの使用人を使う生活になります。
ジャカルタで新婚生活をスタートする人も多いのですが、家事をすべて使用人がしてくれる生活から始まると、何年かたって日本へ帰った時に、そのギャップの大きさのあまり、離婚にまで発展した夫婦もいるとも聞きました。
私がかつてシンガポールに駐在した時は四歳と二歳の子連れでしたが、五年間、掃除、洗濯、アイロンとメードにしてもらいました。帰国した時、家事が大変おっくうだった記憶があります。
そういうギャップを感じないためにと、アパートの契約更改時期になっても、ご主人が最初に住んでいた単身赴任用の部屋の1LDK(それでも九十平方メートル)に住み続けている日本人夫婦もいます。日本に帰ったら「うさぎ小屋」なんだから、ここにいる間だけでも広い部屋に住んで、気持ちを広々とさせればいいのにと思いますが、人それぞれ考え方が違うようです。
しかし、大きなアパートを一歩外に出ると、裏には茶褐色の低い屋根が並び、薄暗い小さな家に現地の人々が住んでいます。アパートのオフィスでは年に数回寄付を呼びかけてお米や、砂糖、油など生活必需品を買って付近の住人に使ってもらうようにしています。
日本とジャカルタとの違いをお話ししていると「そんなところで苦労しなくても、日本が一番いい」という人が必ずいます。特に若い人の中に「海外転勤など余計な苦労をしたくない。日本がいい」という人が増えているように思います。
しかし、何でも日本を基準にして考えるのではなく、違った国の生活習慣に合わせて暮らしてみるのも楽しいものです。だれにでも人なつっこく接してくるジャカルタの若者たちや、生きることにたくましい子どもたち。常夏の国、ジャカルタに吹く風が心地良いものであることを願っています。
(おわり)
【写真】ジャカルタのオフィスビル群。それぞれ設計者の個性の表れからか、2つと同じ形のビルは見かけない
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<私のプロフィール>
吾川郡春野町出身の56歳。土佐女子高、高知女子大を卒業してRKC高知放送に入社。転勤になった大阪支社時代に商社勤務の夫と結婚。シンガポールに5年暮らした経験を持つ。平成9年10月から夫の退職後の第二の職場、ジャカルタ市に在住。自宅は横浜市。
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