クリスマスと並ぶアメリカ最大級の祝日が、11月第4木曜の感謝祭(サンクスギビングデー)です。元来は、ごちそうと祈りによって農作物の収穫を祝い、神の恵みに感謝をささげるための日でした。
現在、第4木曜から週末にかけての「サンクスギビングホリデー」は、独立した子どもたちが里帰りして父母と食卓を囲む、そんな家族のための日、という意味合いが強くなっています。
ですから「食べきれないほどのごちそうとその香り、皆の談笑する声が台所にあふれている」というのが、多くのアメリカ人に共通する、感謝祭の思い出なのです。
アメリカで初めてサンクスギビングが祝われたのは、ヨーロッパから移住が始まった17世紀。当初、厳しい冬の寒さと飢えでその半数を失った清教徒移住団ですが、先住民からトウモロコシの栽培や七面鳥の飼育などを学び、生きるすべを身に付けていきました。その成功を祝ったのが始まりなのだそうです。
今年の感謝祭は留学生仲間と一緒に、友人のジムとジェンのマレット夫妻宅を訪問しました。手作りのちらしずしを持って到着した時には既に、娘さんご家族や友人たちが来ており、談笑しながら、料理の盛り付けを手伝っていました。
ジェンが前夜から準備していたというごちそうは、トウモロコシパンの詰め物(スタッフィングといい、七面鳥の中に詰めます)、クランベリーのソース、パンプキンパイ、マッシュポテト、グリーンビーンズといった感謝祭ならではの伝統料理、サラダ、アイスクリームなどで、次々にテーブルに並びます。
「本格的に作ったら1日や2日はかかっちゃうから私のは手抜きなのよ」と謙そんするジェンですが、どうしてどうして、ものすごいボリュームの豪華な料理です。
その中でも、感謝祭名物の七面鳥は丸のまま焼き上げられ、皮の焼けた香ばしいにおいと、滴り落ちるたっぷりの肉汁が、食欲をそそります。
鶏とは比べものにならないくらい大きな七面鳥の「解体」は、ふつう男の人の仕事だそうで、マレット家でも一家のあるじであるジムが肉用ナイフを片手に大奮闘。「切ったそばから食べるのが一番おいしいんだよ」と言われ、早速いただいた七面鳥の丸焼きは、あっさり味ながらジューシー。皆で祈りをささげ、感謝祭の食事を楽しみました。
食事の後はビール片手にアメリカンフットボールの試合をテレビ観戦するのも「サンクスギビングデーの伝統の一つ」なのだそうですが、私たちはマレット家恒例のカードゲームや盤ゲームに興じました。
また、感謝祭の翌日は、アメリカで最もにぎわう一大ショッピングの日。どこのお店も随分前から大々的な広告を打ち、早朝から大バーゲンを展開します。ショッピング街が開く午前6時に合わせ、私も友人と出かけましたが、まだ薄暗い開店前から長い行列ができているのにびっくり。
派手な広告の割にあまり安くなっているようには感じませんでしたが、クリスマス前ということもあり、アメリカ人の購買意欲は上々のようでした。
(土佐市役所職員、米ミズーリ州立大コロンビア校留学中、コロンビア市在住)
=おわり=
【写真】感謝祭で訪れた友人のマレット家。七面鳥の丸焼きの「解体」に奮闘するジム(米ミズーリ州コロンビア)
久保裕美さんの連載は今回で終わりです。来年1月からは、ロンドン在住のサラリーマン、村永朝夫さん(高知市出身)が執筆します。
(平成14年12月23日付朝刊掲載)
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