「ミズーリってどんな所?」と聞かれたら、「雄大な自然がその辺にゴロゴロしている所」が私の答えです。
土佐市に生まれ育ち、「私の部屋からは太平洋が見える!(ホントは土佐湾だけど)」と豪語してきた私が、今更高知以外の自然に、感嘆はしても圧倒されるなんてあり得ない、と思ってきたけれど、ここミズーリでは圧倒されっ放しです。
とにかくスケールが違うのです。川も湖も平原も高原も、とにかくでっかい。「トム・ソーヤの冒険」を生み出したマーク・トウェーン、「大草原の小さな家」の作者、ローラ・インガルス・ワイルダー、そしてミッキー・マウスの生みの親、ウォルト・ディズニーらが幼少時代を過ごし、その大自然から物語のインスピレーションを得た――とはミズーリ州観光局の宣伝文句。それもなるほど、と思わせる雄大さが、ミズーリの自然にはあります。
そして一見、ほったらかしのように見えるのだけれど、実はものすごく整備されています。冒険と安全の両方が確保されている、という感じなのです。
例えば、州内に80ある州立公園のほとんどには、年中利用できるキャンプ施設があり、それを足場に、川や湖で水泳や釣り、カヌー、ヨット、ジェットスキーなどが楽しめます。
また「KTトレイル」と呼ばれる全長225マイル(約360キロ)にも及ぶミズーリ川沿いのコースは、サイクリングやジョギング、ウオーキングの格好の場所です。さらに約4800もある洞くつ巡りやハイキング、乗馬、ゴルフなど、野外活動の場には事欠きません。
アウトドアの本場のような州にいるのだからと、生粋のミズーリっ子のクラスメートに誘われてこの夏、私もキャンプに出かけました。コロンビア市から車で4時間、南接するアーカンソー州との境に程近い州立公園で、テントを張っての2泊3日です。
今回の主な目的は初挑戦のカヌー。朝9時すぎから7時間かけての渓流下りは、途中で泳いだり岩場からダイビングをしたり、釣りを楽しんだりしながらだったので、飽きることは全くありません。
それに魚の群れはもちろんのこと、亀やビーバー、キツツキ、ガチョウの親子、シカ、スカンク、馬など、数多くの野生動物を目の当たりにして、はしゃぎっ放しの川下りでした(「亀はいいからまじめに漕げ!」と友人に何度も怒られたけど)。
また、200種類以上の魚を釣ることができるミズーリ州は「淡水釣りの聖地」(これも観光局の受け売り)なんだそうですが、緑深い渓谷をバックにフライフィッシングをする釣り人の姿は、まさにブラッド・ピット主演の映画「リバー・ランズ・スルー・イット」そのもの(ちなみにブラピもミズーリ州出身で、大学の先輩に当たります)。
夜はさすがにくたくたで、ハンバーガーの夕食後は早々にテントに潜り込み、いまだ地面が揺れているような錯覚にとらわれながらも、心地よく眠ることができました。
ちょっとおかしかったのが、ここぞとばかりに張り切る男性陣の働きぶり。テントの設置から料理まですべて受け持ち、朝もゆっくりテントの中でまどろむ私たち女性陣に「卵の焼き方はどんなのがいい?」「パンにバター塗る?」と、外から声をかける彼らのかいがいしさに、悪いと思いつつも思わず笑ってしまいました。
(土佐市役所職員、米ミズーリ州立大コロンビア校留学中、コロンビア市在住)
【写真】カナディアンカヌーで川下りをする。ミズーリは大自然の宝庫(米ミズーリ州南部)
(平成14年9月20日付朝刊掲載)
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