8月3日、ある人力飛行機チームが飛距離10・9キロメートルの大記録を達成した。従来の倍以上の記録である。え、日本でもそんな話がある?
はい、これは日本の琵琶湖で日本人により達成された記録です。機体は全長7メートル、全幅は32メートルもあり、まさに気流に乗って上昇するグライダーを思わせます。
同じ8月3日、ロンドンの超ビッグな公園ハイドパークでは、英国初の鳥人間大会(FLUGTAG)が開催されました。参加は総勢41組、約300人です。
当日、同僚と会場の大きな池に着くと、池のそばや木陰の良い場所は徹夜組や早朝組に占められており、われわれは後方の日の当たる場所となりました。
この日、ロンドンは珍しく30度を超す暑さ。周りは上半身裸の男性やビキニの女性が多く、サンオイルを塗る姿に「ここは海水浴場か?」と思わされます。寒い季節が長いため、日光浴にどん欲な国民性を強く感じた次第です。
午後1時にオープンセレモニーが始まりました。主催者のあいさつに合わせて、ジェット戦闘機の編隊が公園上空に入って来ます。観衆から一斉に歓声が沸きました。
次に、セスナ機から4人のスカイダイバーが次々と飛び降りました。イベント名を記した旗をはためかせ、手にした発炎筒からカラーの煙を流して池に着水すると、ヤンヤの喝さいです。イギリス人も結構、お祭り騒ぎが好きですね。
この後、来場者数が、6万5000人とのアナウンス。公園のあちこちに大型スクリーンが設置され、全員で臨場感が味わえます。
さて、本題のコンテスト。琵琶湖で毎年行われている鳥人間コンテストをイメージするなんて、とんでもありません。飛び出した瞬間に真っ逆さまに落ちていく機体(?)ばかりで、最長距離は確か5・2メートルでした。
私がいた場所からは落ちる瞬間しか見えず、しかも次が飛ぶまで10分から15分と時間がかかるので、少しずつ雰囲気が盛り下がっていきます。飛び出し台上(高さ8メートル)で飛ぶ前にインタビューしたり何かワーワーやっているのは聞こえますが、「暑いので次を早く飛ばせ」というのが周りの雰囲気でしたね。
私もだんだん、いらいらしてきて、飛び出し台の様子を見ようと大型スクリーンの前に移動しました。アナウンスだけでは分からなかった採点方法が、スクリーンを見てやっと理解できました。ポイントは、(1)機体の創造性(2)パフォーマンス(3)飛距離(4)観衆の拍手―でした。
中でもパフォーマンスが良いと、審査員の点数だけでなく観衆の拍手も多くなります。各チームは飛行前のパフォーマンスには力を入れており、何だか「欽ちゃんの全日本仮装大賞」を見ているようでした。
若いお嬢さんがミニスカートや水着っぽい衣装で流行のリズムに合わせ踊りだすと、がぜん、会場が盛り上がります。「鳥人間との関係は?」なんて堅苦しく考えずに楽しんでしまうところが、こちらの人の良いところです。
機体も有名政治家やスーパーマンを模したものなど、「何を考えているの?」というのが多かったですね。一番盛り上がったのは、イギリスの有名な喜劇映画をパロディーしたチームでした。
機体(?)は英国の名車ニューミニの形で、車体には国旗ユニオンジャックがペイントされ、屋根には翼。パフォーマンスも人気喜劇俳優のパロディーで、歌ったり踊ったり、パンツ一枚になったり、とにかく大いに乗せて笑わせていました。イギリスの多くの方は、国歌や国旗に大変な誇りを持っており、ここをくすぐったのが高得点につながったようでした。
結局、全組見てしまい、終わったのは予定より1時間遅れの午後6時でした。5時間も炎天下にいられたのは、やはりパフォーマンスが面白かったからだと思います。できることなら『ロンドン仮装大賞』に変更したら」とアドバイスしてやりたいのですが…。
(2003年11月末まで古河電工ロンドン支社勤務、高知市出身)