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 (7) ウィンブルドン       ★続きはこちらをクリック

女子ダブルス準決勝でダベンポート、レイモンド組を下し決勝進出を決めた杉山愛<BR>(左)、キム・クライシュテルス組=オールイングランド・クラブ(共同)
 女子ダブルス準決勝でダベンポート、
レイモンド組を下し決勝進出を決めた杉
山愛(左)、キム・クライシュテルス組=
オールイングランド・クラブ(共同)
 今年もこの日がやって来ました。6月23日。テニスの聖地に世界のプレーヤーが集い、技を競うウィンブルドン選手権が、2週間の予定でスタートしたのです。

 仕事を終え、ロンドン郊外ウィンブルドンにあるオール・イングランド・クラブへ向かいます。電車30分、徒歩20分、午後5時以降の入場券(およそ半額)を買うための行列20分。行列は日を追うごとに長くなり、最高で1500メートル以上、入場までに1時間以上かかります。この時季は10時近くまで明るく、勤めを終えたテニス好きが押し寄せるのです。

 入り口正面に掲示してあるトーナメント表で、出場者をチェックします。フランス・オープンでダブルス優勝の杉山愛選手はシングルス、ダブルスともにシード。特にダブルスは第2シードで、毎年応援に来る私は思わずニヤリとします。

 大会2日目は午後7時に入場。第1コートを目指す人が多いので「もしや指定席券なしで入れるのでは?」と、私も向かいます。勘は的中、10分後には第1コートで小畑沙織選手の試合を見ていました。第1週は時々、券なしで指定席に入ることができるんです。

 さて、小畑の相手はロシアのE・ボビナ選手(第21シード)で、第1セットを6―7で取られたところでした。第2セットは小畑が6―2で取り返し、いよいよ第3セット。

 当初は5―3と小畑優勢でゲームが進みましたが、ゲームカウントは5―4、5―5、5―6、6―6、6―7と推移。熱戦が続き、最後は6―8でボビナに軍配が上がりました。

 2時間半の試合を終え握手する2人は、まるで大人と子ども。荷物をまとめた小畑がうつむいてコートを出ようとすると、観衆から盛大な拍手が送られました。

 しかし、小畑は気付かない。拍手は続く。ここでチラッと顔を上げた小畑に、さらに大きな拍手が送られ、小畑はやっと「自分への拍手と歓声だった」ことに気付き、はにかみながら小さく手を振りました。

 ウィンブルドンの観衆は一般的に、判官びいきで弱い者の味方をしてくれます。だから、小さな日本人選手が大柄な相手に健闘する姿は、誰からも愛されます。他の選手みたいにすごい声も出しませんし。

 大会8日目の6月30日、杉山、キム・クライシュテルス選手(ベルギー)組が3回戦を突破しました。杉山はボレーが好調。キムがサービス、リターンを杉山がボレーで決めるパターンが、面白いように決まっていました。このペアを何年も見ていますが、最近のキムの上達ぶりには驚かされます。おかげで杉山にも余裕が生まれ、より強力なペアになってきています。

 7月2日は直前の強い雨のせいか行列が100メートルしかなく、すんなり入場。「杉山組が試合中」の表示を見つけ、スタコラと第2コートの立ち見席へ向かいました。

 雨で中断されていた試合が、再開されるところでした。間もなく杉山組が入場、しかし相手はまだ現れない。第2シードの杉山組を待たせるとは「いい根性してるじゃないか!」と内心怒っていたところ、盛大な拍手に迎えられ、入場して来たのは…。

 「あれ、見たことがあるぞ、そうだ! マルチナ・ナブラチロワだ。そうか、そうですか、分かりました、それなら結構です」てな感じで、私も拍手しておりました。

 ゲームは雨のせいで3日がかりとなり、セットカウント2―1で杉山組が勝利。この試合が「実力上」の決勝戦だったと思います。

 杉山組はこの後も順調に勝利し、最終日の7月6日、日本の女子選手としては沢松和子さん以来28年ぶり、2人目のウィンブルドン覇者に。出場11回目の努力が実りました。ちなみに彼女は7月5日生まれで、優勝前日に28歳の誕生日を迎えました。その28年前の7月5日、沢松選手が女子ダブルスで優勝しています。

 (2003年11月末まで古河電工ロンドン支社勤務、高知市出身

平成15年7月22日付朝刊掲載




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