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南海地震

―― 視点 京都大学長 尾池和夫(地震学) ――

 地震と噴火の連鎖現象 インドネシアの巨大地震その後

 2004年12月26日、スマトラ島北部の西岸沖から北へ、アンダマン・ニコバル諸島に沿ってインド・オーストラリア・プレートがユーラシア・プレートの下へ沈み込む大規模な運動が発生して超巨大地震(地震の規模は、マグニチュード9・3)となった。その海底の変動によってインド洋沿岸一帯には大津波がもたらされた。その地震による揺れや大津波による災害で、死者は22万人、負傷者は13万人と言われている。

 マグニチュードが9を超えるような巨大地震はプレートとプレートの相対運動でプレート境界に沿って起こるものであるが、そのような巨大な現象が一度発生すると、そのプレート境界に沿って、大地震や火山噴火が連鎖的に起こる。スマトラ島沖の巨大地震からほぼ2年が経過して、その間にさまざまの現象が続いており、このような連鎖的な現象は、近い将来に起こる南海トラフのプレート境界の巨大地震の時にも似たような連鎖的現象があると思うので、このあたりでまとめておくことも大切だと思う。

 2005年3月28日にはマグニチュード8・5の地震が、2004年末のスマトラ沖の巨大地震の震源域に隣接して南側で起こった。このような連鎖的な現象は、日本でも1944年東南海地震、1945年三河地震、1946年南海地震というように似た現象が起こった。GPSの観測では、ニアス島で5メートルに達する南西方向への変動があった。

 続いて、スマトラ島の火山が噴火した。4月12日から、タラン火山の活動が活発になり、パニックになった周辺の住民ら、2万5000人が避難し始めたというニュースが伝わった。この火山に近いパダン市沖で、10日にマグニチュード6・8の地震が起こったこともあって、住民はパニックとなって逃げ出した。

 ジャワ島でも火山が相次いで噴火した。4月13日には、アジア・アフリカ会議50周年記念式典の準備が行われているバンドンの北の郊外で、タンクバン・プラフ火山が噴火した。私が2004年に久しぶりに訪れて火口を覗(のぞ)いた火山である。

 2006年、ジャワ島中部のジョクジャカルタの北約30キロにあるメラピ火山が大規模な活動を始めた。4月18日、火山灰の降灰を確認し、4月19日、知事が「今後10ないし14日以内に噴火する可能性がある」と発表した。4月20日、山麓(さんろく)の観光地カリウランを閉鎖、25日、周辺住民3000人以上が集会所や学校への避難を開始、5月11日、インドネシアの副大統領が州政府に対し、半径6キロ圏内の全住民の避難を指示した。2006年5月18日には、ジャワ島のメラピ火山の噴火に伴う山頂部の温度上昇が衛星画像で確認された。

 2006年5月27日、スマトラ島の東にあるジャワ島中部で地震が起こった。マグニチュード6・2という中規模な地震であるが、死者が5000人以上出た。この後、ジャワ島沖には7月17日にも大地震があって、津波の被害が出た。西ジャワのパガンダランでは18日の夜明けとともに海岸などで遺体が次々に収容された。パガンダランでは、地震の揺れによる被害はほとんどなかったが、海岸から数百メートルの津波到達範囲に、建物の被害が集中した。インドネシア気象庁でも、津波発生への警戒感がなかったのか、津波警報は出されなかった。

 このように巨大地震のあとの2年間だけ見ても、次々と大規模の地震や火山活動が、そのプレート境界全体に連鎖的に起こるということがわかる。

2006年12月17日付朝刊掲載

 ※筆者の了解を得てホームページにも掲載しています。

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