広島と高知の地震 フィリピン海プレートの先端
11月12日の土曜日、広島市の鯉城会館で土佐中学校・高等学校広島支部の総会があった。それに参加して講演する機会をいただいた。
広島県を中心にたくさんの方たちが集まったが、皆さん一度は高知市で学習に励んだ方たちであるから、高知県に関係する地震の起こり方と、広島を含む西日本の地震活動の特徴について話をして、震災を受けないよう少しでも将来の大地震に備えて、まずは地震のことを知っていただくことを主眼として、それによって震災を軽減する工夫を実行する気になっていただこうというのが、私の話の趣旨であった。
21世紀の前半には、昨年インド洋に起こったようなプレート境界型の巨大地震が、南海トラフに起こり、その前に西日本の内陸の活断層帯が活動して、内陸の大規模地震を起こすという予測を、この欄でも繰り返し述べているが、広島県には、高知県と同じように活断層が発達していないので、1995年に神戸の大震災を起こしたような内陸の都市直下型の地震は起こらない。
広島県には北に中国山地があり、その南には岡山県から続く広い吉備高原がある。そこに少し活動度の低い活断層があるにはあるが、それほど大規模な活動をするとは思えない。広島県の西部には、北東から南西の方向に線状の谷地形がいくつか見られるが、これも中越地震のとき話題になった活褶曲(かつしゅうきょく)のような現在の運動による活構造ではなさそうである。
一方、高知県などの沖にある南海トラフから潜り込んだフィリピン海プレートの先は、広島県の地下に達していて、そのプレートに規模の大きな地震が起こって広島県にも被害を出すことがある。最近では2001年の芸予地震がその例である。安芸灘の地下に震源がある場合が多い。歴史資料によると1649年にマグニチュード(M)7クラスの地震があり、さらに1686年、1857年にもあった。これらが最近の芸予地震と同じく、やや深い地震の可能性がある。やや深い地震だと、規模の割には被害が軽い場合が多いが、1905年の芸予地震では、県内の海岸沿い、とくに埋立地で大きな被害が生じた。1949年にもM6・2のやや深い地震があった。
2001年3月24日に起こった地震は、M6・4で、深さが50キロだった。これも似たような場所に起こった。フィリピン海プレートの沈み込みに伴う地震の分布を見ると、地震分布の先端部で発生したことがわかる。この地震が起こった場所の南西側で、フィリピン海プレートの潜り込みの傾きが急に変化している。
2004年9月5日には、紀伊半島南東沖の南海トラフの南側で大規模な地震が起こった。これはフィリピン海プレートが潜り込む前の状態の場所に、岩盤の破壊が発生して起こった地震だった。このようにフィリピン海プレートの中にもいろいろな場所で地震が起こっていることがわかる。潜り込んでいるプレートの上にある陸のプレートでは、西日本の活断層帯で地震活動期の最中であり、いずれその2つのプレートの境界である南海トラフで、大規模なずれが起こってM8クラスの巨大な南海地震を起こすことになる。
広島市では、そのような西日本の仕組みを中心に、「地震を知って震災に備える」という題で、土佐高校の同窓生の皆さんに話を聞いてもらった後、同窓会広島支部の懇親会にも参加させていただいた。
(2005年11月20日付朝刊掲載)
※筆者の了解を得てホームページにも掲載しています。