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室戸岬の沈降続く きょう昭和南海地震から60年
師走に入り、安芸市から室戸岬にかけての国道55号沿いで、えっちら、おっちら、長い棒を担いでシャクトリムシのように続けられる測量作業を見掛けませんか? よくある道路工事と思うなかれ、南海地震研究の貴重なデータを収集するため毎年、国土地理院が行っている水準測量なのです。21日は昭和南海地震(昭和21年)から60年――。
水準測量は「水準点」の間の高低差から高さを導く測量で、誤差はわずか1ミリ未満の精密さ。主な水準点は「基準」「一等」「二等」の3種類、合計2万個以上が国土を網の目状に覆う形で点在しており、地震研究にも欠かせない基礎的なデータが得られる。
室戸岬は南海地震に伴う特徴的な地殻変動が顕著に表れる地域。地震が起こるまで少しずつ沈み、発生時には急激に隆起する。昭和南海地震ではこの水準測量で、室戸岬が高知市を基準に、地震前と比べて約1・3メートル隆起したことが分かっている。
国土地理院は「昭和南海」以降、平成8年までの約50年間で7回、この地域の水準測量を行っているが、近年はさらに観測を強化。14年以降は毎年、室戸岬―東洋町、室戸岬―安芸市の2ルートで交互に水準測量を続けている。
今回は11日から約20日間の日程で、委託を受けた建設コンサルタント会社が安芸市―室戸岬間の旧道を含む国道55号の約48キロで水準測量を実施中。三脚に設置した「レベル」という測量機器で、2カ所に据えた長い棒(標尺)の目盛りを読みながら、水準点の間をシャクトリムシのように進む労力のかかる作業だ。
「この測量で、室戸岬は安芸市を基準に年間平均約7ミリずつ沈下していくのが分かります」と国土地理院四国地方測量部(高松市)。大地の息遣いから、次の南海地震のエネルギーが確実にたまっているのが明らかになる。着実に沈降する室戸岬は、「その時」へ向け、正確に刻む時計の針にも思えてくる。
【写真説明】国道55号沿いで進む水準測量。南海地震研究の貴重なデータが得られる(安芸市伊尾木)