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![]() ―― 関連ニュース ――最大の備えは防災意識 求められる住民自主組織約50年前、甚大な被害をもたらした「東南海・南海地震」は今世紀前半の発生が懸念されている。中央防災会議は、二つの地震が同時に起きた場合、最大約7400人が死亡し約27万7000棟が全壊するとの想定を発表。対策特別措置法が成立し、各地で防災の取り組みが進んでいる。1995年の阪神大震災の記憶でさえ、すでに風化が進む中、いざというとき震災の教訓を生かせるのか。「次への備え」を検証した。
東南海・南海地震の被害が想定される各地の自治体では、巨大津波に備えた防潮堤や避難施設などを整える一方、「一番重要なのは住民の防災意識を高めること」と、あの手この手で啓発活動に取り組んでいる。 徳島県が2004年の完成を目指しているのは、災害対策の多目的施設「徳島県消防学校・防災センター(仮称)」だ。3万平方メートルを超す敷地には地震の揺れや風雨を体験できる施設、さらに災害時の消火、救命活動の体験設備も備える。 いざ大規模災害が起きた時には県職員が防災拠点として活用。県の災害対策本部や各市町村、防災機関と連絡を取りながら、他の自治体からの応援組やボランティアをまとめ、情報を伝達したり、救命機材や支援物資を集配する基地となる。 県消防防災安全課は「消防学校の教室やグラウンドも活用できる」と効率の良さもアピール。「体験しながら防災活動を学習できる機能を使い、小中学校のカリキュラムにも取り込めたら」と話す。 和歌山県は毎年「リーダー育成研修会」で自治会の役員らを防災対策のリーダーに選んでいる。道路が津波で破損し、海岸沿いや山間部で孤立する集落が多数出ることを想定。地域ごとに津波が襲った場合の避難経路を図上できめ細かく演習させる。育成したリーダーたちに、地元の自主防災組織づくりを積極的に担ってもらうのが狙いだ。 同様のリーダーづくりを進める高知市だが、自主防災組織の組織率は現在約20%とまだまだ。担当者は「50%が目標。住民に主体的に取り組んでもらう意識付けは難しい」とこぼす。 一方で住民の側から積極的に災害対策を自治体に求めるケースも。徳島県海部町では最も遠い所で地域から約500メートルも離れた避難場所に、地元から「高齢者では逃げ切れない」と指摘があった。同町では「1946年の昭和南海地震を体験した人がまだ多く、津波災害への意識は高い」(同町総務課)からだという。 指摘を受けた町が海岸近くに建設することになった避難施設は、高さ4・2メートルの2階建てで、約400平方メートルの2階に300人の避難者を収容できる。1階を丈夫な柱だけにして津波が通り抜けるようにし、南海地震で想定される津波にも対応。障害者や同町に多いお年寄りが車いすでも上れるようにスロープも付けた。 外洋に面した町は、常につきまとう津波についてはよく知られるようになってきた。しかし、海の巨大地震はまず、振幅の大きい、長時間の揺れから始まる。高知県消防防災課は「津波に比べて揺れに対する意識が低く、対策も遅れている。今後の課題だ」と警戒している。 2つの地震−仕組みと解説− 東大地震研究所・島崎邦彦教授東南海、南海地震はどのような仕組みで起きるのか、阪神大震災を引き起こした兵庫県南部地震とはどこが違うのか。東京大地震研究所の島崎邦彦教授に話を聞いた。「フィリピン海にある厚さ数十キロのプレート(岩板)が、日本沖合の太平洋の南海トラフ(海中のくぼみ)に年間5ミリ程度のスピードで沈み込み、その際、トラフの反対側にある近畿や四国が乗った陸側プレートも巻き込んでいる。陸側プレートは限界に達すると反発して一気に跳ね上がり、地震が起きる」 「おおむね100年単位の周期で起きているこれまでのデータを基にはじき出すと、今後30年に起きる確率は南海が40%、東南海が50%。今後50年では80―90%となる。年を経るごとに確率は上がり、今世紀前半にほぼ間違いなく起きると言えるだろう」 「地震の大きさは岩板の移動でエネルギーがどれだけたまっているかで決まる。1944、46年の前回はマグニチュード7・9―8・0。ここの地震にしては小さめだったので、これまでの大小の周期を考えても次回は大きめになる恐れがある」 「東海地震が想定される東のエリアまで含めて岩板は一続き。しかも東南海、南海は周期がほぼ同じで、南海で岩板が跳ねれば隣の東南海でも当然跳ねやすくなり、二つの地震は同時に発生しやすい。そうなれば被害はより大きくなる」 「陸の地震だった兵庫県南部地震が狭い地域を比較的短時間に激しく揺らしたのに対し、東南海、南海は広い範囲で揺れる。震源から遠くても地盤の弱いところは強く揺れる。想定される揺れの時間は数十秒から1分と長いのが特徴。また、岩板が跳ね上がる海底の地殻変動で津波が発生する」 「東南海、南海地震はこれまでに大きな犠牲を出し、昔の人が警告を発してくれている。特に若い人はどういう形にせよ、将来出くわす地震なので、自分に関係ないとは思わないでほしい。大きな揺れが長い時間続く地震のため相当な恐怖を感じるだろうが、慌てずに、揺れが収まったら海の近くの人は直ちに高台に避難してほしい」 (2003年1月14日付朝刊掲載) |
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