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南海地震対策法が成立/法律全文

 今世紀前半に発生する恐れがある東南海・南海地震の防災対策を進める「東南海・南海地震対策特別措置法」が19日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。公布から1年以内に施行される。

 同法は遠州灘西部から四国沖を震源域とする大規模地震などに対応。激しい被害を受ける恐れのある地域を、首相が防災対策推進地域として指定し、避難路や消防施設などの整備を進める。推進地域内にある病院やデパートなどの責任者には、津波からの避難計画の策定を義務付けた。(共同

2002年7月20日付朝刊掲載


 2002年7月19日に成立した「東南海・南海地震対策特別措置法」の全文と、法案提出の際の衆院災害対策特別委の決議は、次の通りです。

 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法

  (目的)

 第一条 この法律は、東南海・南海地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、東南海・南海地震防災対策推進地域の指定、東南海・南海地震防災対策推進基本計画等の作成、地震観測施設等の整備、地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備等について特別の措置を定めることにより、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進を図ることを目的とする。

  (定義)

 第二条 この法律において「東南海・南海地震」とは、遠州灘西部から熊野灘及び紀伊半島の南側の海域を経て土佐湾までの地域並びにその周辺の地域における地殻の境界を震源とする大規模な地震をいう。
 2 この法律において「地震災害」とは、地震動により直接に生ずる被害及びこれに伴い発生する津波、火事、爆発その他の異常な現象により生ずる被害をいう。
 3 この法律において「地震防災」とは、地震災害の発生の防止又は地震災害が発生した場合における被害の軽減をあらかじめ図ることをいう。

  (東南海・南海地震防災対策推進地域の指定等)

 第三条 内閣総理大臣は、東南海・南海地震が発生した場合に著しい地震災害が生ずるおそれがあるため、地震防災対策を推進する必要がある地域を、東南海・南海地震防災対策推進地域(以下「推進地域」という。)として指定するものとする。
 2 内閣総理大臣は、前項の規定による推進地域の指定をしようとするときは、あらかじめ中央防災会議に諮問しなければならない。
 3 内閣総理大臣は、第一項の規定による推進地域の指定をしようとするときは、あらかじめ関係都府県の意見を聴かなければならない。この場合において、関係都府県が意見を述べようとするときは、あらかじめ関係市町村の意見を聴かなければならない。
 4 内閣総理大臣は、第一項の規定による推進地域の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。
 5 前三項の規定は、内閣総理大臣が第一項の規定による推進地域の指定の解除をする場合に準用する。

  (地震防災対策強化地域との調整)

 第四条 内閣総理大臣は、東南海・南海地震に関する観測及び測量のための施設等の整備が図られ、並びに東南海・南海地震の発生の予知に資する科学技術の水準が向上することにより、前条第一項の規定による推進地域の指定を受けた地域が大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年法律第七十三号)第三条第一項の規定による東南海・南海地震に係る地震防災対策強化地域の指定を受けることとなったときは、当該地域について前条第一項の規定による推進地域の指定の解除をするものとする。この場合においては、同条第五項中「前三項」とあるのは、「前項」とする。

  (基本計画)

 第五条 中央防災会議は、第三条第一項の規定による推進地域の指定があったときは、東南海・南海地震防災対策推進基本計画(以下「基本計画」という。)を作成し、及びその実施を推進しなければならない。
 2 基本計画は、国の東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する基本的方針、東南海・南海地震防災対策推進計画(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第二条第九号に規定する防災業務計画、同条第十号に規定する地域防災計画又は石油コンビナート等災害防止法(昭和五十年法律第八十四号)第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画のうち、次条第一項各号に掲げる事項について定めた部分をいい、以下「推進計画」という。)及び東南海・南海地震防災対策計画(第七条第一項又は第二項に規定する者が東南海・南海地震に伴い発生する津波からの円滑な避難の確保に関し作成する計画をいい、以下「対策計画」という。)の基本となるべき事項その他推進地域における地震防災対策の推進に関する重要事項について定めるものとする。
 3 災害対策基本法第三十四条第二項の規定は、基本計画を作成し、又は変更した場合に準用する。

  (推進計画)

 第六条 第三条第一項の規定による推進地域の指定があったときは、災害対策基本法第二条第三号に規定する指定行政機関の長(指定行政機関が内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の委員会又は災害対策基本法第二条第三号ロに掲げる機関若しくは同号ニに掲げる機関のうち合議制のものである場合にあっては当該指定行政機関をいい、指定行政機関の長から事務の委任があった場合にあっては当該事務については当該委任を受けた同条第四号に規定する指定地方行政機関の長をいう。)及び同条第五号に規定する指定公共機関(指定公共機関から委任された業務については、当該委任を受けた同条第六号に規定する指定地方公共機関)は同条第九号に規定する防災業務計画において、同法第二十一条に規定する地方防災会議等(市町村防災会議を設置しない市町村にあっては、当該市町村の市町村長)は同法第二条第十号に規定する地域防災計画において、石油コンビナート等災害防止法第二十七条第一項に規定する石油コンビナート等防災本部及び同法第三十条第一項に規定する防災本部の協議会は同法第三十一条第一項に規定する石油コンビナート等防災計画において、次の事項を定めなければならない。
  一 避難地、避難路、消防用施設その他東南海・南海地震に関し地震防災上緊急に整備すべき施設等で政令で定めるものの整備に関する事項
  二 東南海・南海地震に伴い発生する津波からの防護及び円滑な避難の確保に関する事項、東南海・南海地震に係る防災訓練に関する事項その他東南海・南海地震に係る地震防災上重要な対策に関する事項で政令で定めるもの
 2 推進計画は、基本計画を基本とするものとする。

  (対策計画)

 第七条 推進地域内において次に掲げる施設又は事業で政令で定めるものを管理し、又は運営することとなる者(前条第一項に規定する者を除き、東南海・南海地震に伴い発生する津波に係る地震防災対策を講ずべき者として基本計画で定める者に限る。)は、あらかじめ、当該施設又は事業ごとに、対策計画を作成しなければならない。
  一 病院、劇場、百貨店、旅館その他不特定かつ多数の者が出入りする施設
  二 石油類、火薬類、高圧ガスその他政令で定めるものの製造、貯蔵、処理又は取扱いを行う施設
  三 鉄道事業その他一般旅客運送に関する事業
  四 前三号に掲げるもののほか、地震防災上の措置を講ずる必要があると認められる重要な施設又は事業
 2 第三条第一項の規定による推進地域の指定の際、当該推進地域内において前項の政令で定める施設又は事業を現に管理し、又は運営している者(前条第一項に規定する者を除き、東南海・南海地震に伴い発生する津波に係る地震防災対策を講ずべき者として基本計画で定める者に限る。)は、当該指定があった日から六月以内に、対策計画を作成しなければならない。
 3 対策計画を作成した者は、当該施設の拡大、当該事業の内容の変更等により、対策計画を変更する必要が生じたときは、遅滞なく当該対策計画を変更しなければならない。
 4 対策計画は、当該施設又は事業についての東南海・南海地震に伴い発生する津波からの円滑な避難の確保に関する事項その他政令で定める事項について定めるものとする。
 5 対策計画は、推進計画と矛盾し、又は抵触するものであってはならない。
 6 第一項又は第二項に規定する者は、対策計画を作成したときは、政令で定めるところにより、遅滞なく当該対策計画を都府県知事に届け出るとともに、その写しを市町村長に送付しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
 7 第一項又は第二項に規定する者が前項の届出をしない場合には、都府県知事は、その者に対し、相当の期間を定めて届出をすべきことを勧告することができる。
 8 都府県知事は、前項の勧告を受けた者が同項の期間内に届出をしないときは、その旨を公表することができる。

  (対策計画の特例)

 第八条 前条第一項又は第二項に規定する者が、次に掲げる計画又は規程において、法令の規定に基づき、同条第一項の政令で定める施設又は事業に関し同条第四項に規定する事項について定めたときは、当該事項について定めた部分(次項において「東南海・南海地震防災規程」という。)は、当該施設又は事業に係る対策計画とみなしてこの法律を適用する。
  一 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第八条第一項若しくは第八条の二第一項に規定する消防計画又は同法第十四条の二第一項に規定する予防規程
  二 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二十八条第一項に規定する危害予防規程
  三 高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第二十六条第一項に規定する危害予防規程
  四 ガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第三十条第一項(同法第三十七条の七第三項又は第三十七条の十で準用する場合を含む。)に規定する保安規程
  五 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第四十二条第一項に規定する保安規程
  六 石油パイプライン事業法(昭和四十七年法律第百五号)第二十七条第一項に規定する保安規程
  七 石油コンビナート等災害防止法第十八条第一項に規定する防災規程
  八 前各号に掲げる計画又は規程に準ずるものとして内閣府令で定めるもの
 2 東南海・南海地震防災規程を作成した者は、前条第六項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その東南海・南海地震防災規程の写しを市町村長に送付しなければならない。東南海・南海地震防災規程を変更したときも、同様とする。

  (地震観測施設等の整備)

 第九条 国は、東南海・南海地震に関する観測及び測量のための施設等の整備に努めなければならない。

  (地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備等)

 第十条 国及び地方公共団体は、推進地域において、避難地、避難路、消防用施設その他東南海・南海地震に関し地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備等に努めなければならない。

  (財政上の配慮等)

 第十一条 国は、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進のため必要な財政上及び金融上の配慮をするものとする。

  (政令への委任)

 第十二条 この法律に特別の定めがあるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

 附 則

  (施行期日)

 第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

  (消防組織法の一部改正)

 第二条 消防組織法(昭和二十二年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
  第四条第二項第二十一号中「及び原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)」を「、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)及び東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成十四年法律第   号)」に改める。

  (内閣府設置法の一部改正)

 第三条 内閣府設置法の一部を次のように改正する。
  第四条第三項第十四号の二の次に次の一号を加える。
  十四の三 東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成十四年法律第   号)に基づく地震防災対策に関すること。

 理 由

 東南海・南海地震が発生した場合において国民の生命、身体及び財産に重大な被害を及ぼすおそれがあることにかんがみ、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進を図るため、東南海・南海地震防災対策推進地域の指定、東南海・南海地震防災対策推進基本計画等の作成、地震観測施設等の整備、地震防災上緊急に整備すべき施設等の整備等について特別の措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 東南海・南海地震等に係る地震防災対策の強化に関する決議

 東南海・南海地震は海溝型地震の中でも大規模であり、発生した場合において国民の生命、身体及び財産等に重大且つ広範な被害を及ぼすおそれがあることに鑑み、政府は東南海・南海地震等に係る地震等防災対策の推進を図るため、特に次の諸点について適切な措置を講じ、万全を期するべきである。

 一 東南海・南海地震に係る防災対策推進のための国・地方公共団体の組織体制の充実強化を図るとともに、必要な施策の速やかな実施に万全を期すること。

 二 地震に関する観測・測量のための施設等の早急な整備をはかると共に、東南海・南海地震における地震予知の重要性に鑑み、予知に資する科学的な技術水準の向上に努めること。

 三 東南海・南海地震において最も警戒をすべき津波災害については、緊急を要する危機管理の視点に立って、津波災害の特性について国民への周知徹底を図るとともに、定期的避難訓練の実施等に配慮すべきこと。

 四 津波災害防止という視点に立ち、港湾整備事業等の速やかな実施、避難地、避難路等の避難施設の整備等、必要な施策を講ずること。

 五 他の海溝型地震についても同様の措置を講ずること。

 右決議する。


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