2017.05.09 08:20

限界集落から“消滅”へ 高知県香美市物部の中津尾集落

山深いかつての集落跡。高い石垣の上に空き家が残る(高知県香美市物部町中津尾)
山深いかつての集落跡。高い石垣の上に空き家が残る(高知県香美市物部町中津尾)

 2016年末、高知県香美市物部町の中津尾という集落から「人がいなくなった」という話を聞いた。香美市役所物部支所から高知県道安芸物部線や林道などを経由して車で約1時間。道路には落石や倒木が目立ち、それを取り除かないと集落にはたどり着けない。2015年の国勢調査を基に高知県が5月1日発表した集落調査によると、中津尾は「2世帯2人」が暮らしていることになっているが―。「人がいなくなった」集落を訪ねた。

 香美市物部町の中津尾は地域の中心部、大栃地区から直線距離にして6キロ足らずだ。とはいえ、大栃から行くにしても、高知県道安芸物部線を南下して高知県香南市にいったん入った後、林道経由で高知県安芸市も抜けなければならない。行けども行けども山ばかり。そんな道程でやっと集落が見えてくる。

 中津尾出身の小松英延さん(69)=香南市香我美町徳王子=に4月下旬、案内してもらった。英延さんは中津尾にあった大栃中学校の分校を卒業し、高知市の高校に進学。一時は地元に戻ったが、27歳で再び山を下り、2016年まで高知市内の保険代理店で働いた。

最期まで中津尾に住み続けた小松繁広さんの家(高知県香美市物部町中津尾)
最期まで中津尾に住み続けた小松繁広さんの家(高知県香美市物部町中津尾)
■限界超えた
 山中を車で進むと、英延さんも通った小中学校の跡地が林道の先に見えてきた。教職員宿舎だった平屋のトタンぶきだけが残り、ここが集落の入り口だ。

 ヘアピンカーブを曲がると景色が開け、英延さんの実家が現れた。木造平屋が2棟とコンクリート製の住居が1棟。息子が山を下りた後も、父の繁広さんは「中津尾におりたい」と住み続けた。高知県の集落調査で「2世帯2人」とカウントされたうちの1人だ。...


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カテゴリー: 社会香長


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