2017.04.06 08:05

高知で50代男性が貧困で受診控え死亡 「命守る保険制度必要」

(写真はイメージです)
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 経営する事業所の倒産で国民健康保険料が払えず無保険となった高知市の50代男性が、高血圧などの治療を2年間中断した結果、持病が悪化して2016年11月に死亡していたことが4月5日までに分かった。

 男性が死亡する2日前に受診した高知医療生活協同組合潮江診療所(高知市高見町)などによると、男性は高血圧と糖尿病の持病があった。

 以前は通院して治療していたが、経営していた事業所が倒産して借金を背負い、2014年に無保険になった。非正規の仕事で得る8万~16万円の月収は借金返済などに充て、国保料が払えず受診を控えていたという。

 呼吸困難がひどくなった2016年11月、高知医療生活協同組合潮江診療所が無料低額診療を行っていることをネット検索で知り、受診。重症心不全が強く疑われたため、高知医療生活協同組合潮江診療所の紹介で翌日、無料低額診療が受けられる高知生協病院(高知市口細山)に入院した。

 点滴治療などで症状は改善したが、次の日の夜になって突然ベッド脇に倒れ、亡くなった。高知生協病院によると、急性心筋梗塞による心臓破裂の可能性が高いという。

 無料低額診療は、収入に応じて医療費の窓口負担を半額や無料にする制度。

「命守る保険制度必要」 無料低額診療所が訴え
 高知市の50代男性が高血圧などの治療を中断した後に死亡した事案を受け、高知医療生活協同組合潮江診療所の関係者らが4月5日、高知県庁で会見し、貧困による受診控えの実態を説明。無保険でなければこの男性はここまで症状が悪化することはなかったとした上で、「命を守る保険制度の構築が必要だ」と訴えた。

 高知医療生活協同組合潮江診療所は経済的困窮で病院に行けない人のために無料低額診療を行っている。この日は、2009年10月から2017年3月までの7年間に高知医療生活協同組合潮江診療所で無料低額診療を受診した344人について事例を紹介した。

 それによると、63%に当たる210人が無保険だった。高知市では約4万6千世帯ある国保世帯のうち22%(約1万世帯)が国保料を滞納している(2月現在)とのデータを示した上で、内田好彦所長らは「保険料が所得の2割に達する世帯もあるなど、高い国保料が無保険を生み、貧困による受診控えで病気が重症化している」と指摘した。

 保険証を持っていても医療費負担が不安で受診を我慢しているケースもあるといい、「亡くなった男性は特殊な例ではない。『金の切れ目が命の切れ目』と言われる実態の氷山の一角だ」と話した。

 高知医療生活協同組合潮江診療所を受診する前に生活保護を申請したことがある人は6%(20人)で、受診後に生活保護となった人は46%(157人)だった。多くの人が生活保護基準以下の状態で暮らしながら申請せず、治療を控えていることが分かったという。

 344人のうち男性が8割を占め、年齢は50代(28%)、60代(25%)、40代(18%)の順だった。70代以上は30人(9%)。

 全日本民主医療機関連合会が加盟する病院や診療所など641施設で調べたところ、経済的理由で受診が遅れ、死亡した人は2016年に高知県を含む28都道府県で58人にのぼった。

カテゴリー: 社会政治・経済


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