2017.03.21 08:10

【東芝の経営難】原発斜陽時代の象徴だ

 東芝が、2月に続いて2016年4~12月期の連結決算発表を延期した。東京証券取引所は、東芝株を上場廃止の恐れがある「監理銘柄」に移した。苦境から抜け出せない。
 大きな要因は、巨額の債務を抱えた米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)だ。東芝はWHを破綻処理した上で株式を手放す方針だが、買い手が現れるかは分からない。東芝の将来は不透明なままといえよう。
 日本を代表する企業をこれほど揺るがす事態を引き起こした原発事業だが、各国で曲がり角を迎えている点は共通する。
 かつて、原発の発電コストは低いというのが通説だった。石油や液化天然ガス(LNG)、石炭などによる火力、太陽光や風力など再生エネルギーより安価で、温室効果ガスを削減するにも望ましいとされた。
 東芝が日本や海外の企業と競争の末、WHの買収に成功した06年は、原発に将来を託し、海外展開に可能性を見いだそうとしていた時期だ。原発推進は国策でもあった。
 ただし、低コストは想定通り稼働していることが大前提である。11年に起きた東京電力福島第1原発事故が全てを覆した。
 事故が起きれば、汚染水の処理や安全対策、損害賠償、除染、さらには廃炉と、莫大(ばくだい)な費用が必要になる現実が突き付けられた。人間の手に負えない危険性を持つ事業である点が浮き彫りになった。
 原発離れが福島の事故をきっかけに決定的となり、世界で原発に対する規制が強化された。脱原発が加速しているのに東芝は判断を誤り、こだわりを捨てなかった。
 収益の柱として前のめりになり、巨大なリスクについて十分考えていたのか。問題があっても、国の支援が得られるのではと楽観視した面はなかっただろうか。
 原発は今や斜陽産業に後退したといっていい。東日本大震災の直後、日本へ技術者を派遣したフランス政府が大半の株を保有する原子力大手アレバも例外ではない。巨額の赤字で再建途上にある。
 WHの一部事業には米政府が債務保証しており、破綻処理すれば、米国民が負担を求められる可能性がある。国が関わり、行き詰まれば、国民負担があり得る構図は、ここにもみて取れよう。
 最悪の場合、原発は周辺住民の生活を脅かす可能性を持つ事業でもある。福島の事故で大勢の人々が心ならずも故郷を離れ、今なお戻れずにいる。別れて暮らす家族や、避難先での偏見やいじめに傷つき、苦しんでいる人も多かろう。東電や政府の責任も問われなければならないのはいうまでもない。
 それでも、政府が原発の国内再稼働と海外輸出を進める姿勢は変わらない。東芝の問題を契機に政府も立ち止まって、福島の事故がもたらした深刻な影響などに目を向け、原発の本質について真剣に考えなければならない。

カテゴリー: 社説

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