2017.03.11 08:15

【大震災6年】復興格差の解消を急げ

 岩手県大槌町は東日本大震災で、大きな被害を受けた。死者・行方不明者は町人口の8%に当たる1200人超。街はすさまじい津波で大半の建物を失った。
 中心市街地だった場所はいま、かさ上げが進み、土地区画整理事業で新たな街に生まれ変わろうとしている。町の復興のシンボルの一つといっていいだろう。
 だが、昨年末、町は衝撃的な事実を公表した。新たな中心市街地の計画人口は2100人だが、住民意向調査の結果、居住は半分程度の約1100人になりそうだという。
 多くの住民が住宅再建を断念したり、ちゅうちょしたりしていた。無理もない。避難先で新たな生活基盤を築いた人、高齢や経済的事情、再び被災するかもしれない不安…。
 同県では、陸前高田市も同様の事業で、用地の6割が利用の見通しが立っていない。
 これに対し、宮城県石巻市は田園地帯に形成された新市街地に沿岸部の被災者らも移り住み、建設ラッシュに沸く。復興庁から「まちづくりトップランナー」に認定され、勢いづく被災地もある。
 震災からきょうで6年。被災地は道路や鉄道、建物の工事が進み、復興のつち音が響く。一方で、復興格差が目立つようになってきた。その解消を急がなければならない。
 被災者はいまも全国で12万人以上が避難生活を送っている。
 岩手、宮城、福島3県では1月末現在、仮設住宅1万8千戸の利用が続く。約5年で仮設住宅がなくなった阪神大震災とは大きな差だ。仮設住宅からの退去が進み、1人暮らしの高齢者が孤独死するケースも増えている。
 3県では、計39市町村が全国の自治体から応援職員の派遣を受けているが、共同通信の調査では、95%の37市町村が今後も派遣の継続を望んでいる。住民の生活支援などに当たる職員の不足は深刻だ。こうした状況からも、被災者の生活再建は依然厳しいと言わざるを得ない。
 首長の力量や住民意識の違いはあるにせよ、地方はもともと、地域によって地理的条件や過疎・高齢化、経済力の差が大きい。災害でそれに拍車がかかり、復興格差にもつながっているといえる。
 そんな中で、被災地に自立を求める声が次第に大きくなっている。政府はインフラ復旧や住宅再建を加速する事業費を15年度までは全額国費で負担してきたが、16~20年度は一部に地元負担を求める。
 自立の重要性は否定しない。だが経済や人口が右肩上がりの時代ならまだしも、地方が大規模災害から再生するのは容易ではない。政府による支援が引き続き求められる。
 東日本大震災の対応はこれからの日本の災害復興のありようを問うものでもある。地震も豪雨も多い日本では、どこもが被災地になり得る。しっかりと向き合う必要がある。南海トラフ地震が想定される私たちにとっても、人ごとではあるまい。
カテゴリー: 社説

ページトップへ