2017.03.04 08:20

【維新博開幕】継続の視点で魅力向上を

 歴史を軸に高知県の魅力を発信する「志国高知 幕末維新博」がきょう開幕する。完成から1年の準備期間を経た高知県立高知城歴史博物館も、メイン会場として満を持しての開館となる。
 今年は大政奉還、来年は明治維新から150年に当たり、節目に合わせた維新博も2年以上にわたる。時代に身を投じた郷土の偉人、志を育んだ地域の食や自然をアピールし、息の長い観光振興につなげたい。
 NHK大河ドラマ「龍馬伝」と連動した「土佐・龍馬であい博」のあった2010年、高知県への観光客は過去最高の435万人を記録した。反動もあって一時は落ち込んだものの、2013年以降は3年連続で400万人の大台を確保している。
 博覧会の集客効果は一過性とも指摘されるが、観光客数に底上げの気配がみえるのは、官民による継続の力といってよい。であい博の流れを受けた2011年度の「ふるさと博」以降も「はた博」「東部博」「奧四万十博」と続き、広域観光を担う組織も育ってきた。
 維新博は、県域の博覧会としては6年ぶりとなる。歴史文化施設を核に、食や自然体験などとの組み合わせで誘客を図る。
 テーマに対し「また龍馬頼りか」との声もあろう。とはいえ幕末・維新期は高知県の歴史で最も脚光を浴びた時代であり、大きな財産であることもまた確かだろう。
 実際、歴史ファンにとって興味は尽きまい。高知県内の23施設が参加し、志士や当時の文化に関する企画展やイベントを展開できるほど多くの素材が各地域に存在する。
 ただし、文化施設を中心に据えるコンセプトには、集客への期待とともに課題もあろう。
 博覧会で各施設は入館者の増加に向け、所蔵品などの「見せ方」が問われることになる。一方で歴史文化施設として、新たな史料の発掘や収集、保存といった本来の役割も一層重要になってくる。
 2年という長丁場の会期やその後の展開を踏まえても、地道な魅力向上は欠かせないが、運営や所蔵品の充実は観光のみならず、長く県民の文化面にも貢献しよう。
 高知県内の施設は必ずしも、人員や予算などの運営環境に恵まれてきたとは言えない。高知県は2016年度から歴史資源の「磨き上げ」を後押しする補助制度を設けたが、こうした支援は会期中だけでなく、続けてこそ価値を増す。継続的な視点で各施設の魅力を高める必要がある。
 開館する高知城歴史博物館にはその要の役割が期待される。
 旧土佐山内家宝物資料館から受け継いだ約6万7千点に及ぶ美術品や古文書は県民の貴重な財産だ。歴史文化に触れる機会を提供するとともに、他施設の史料調査や企画、地域の歴史資源の掘り起こしなどの支援にも力を発揮してほしい。
 過去に焦点を当てる博覧会だが、高知県の観光や文化の未来につながる継続的な取り組みの起点としたい。
カテゴリー: 社説


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